編 集 後 記
六月の上旬に関東・東海・北陸から東北南部まで、西の地方より早く梅雨入りした。関東では、下旬からは曇天傾向が続くようになり、日照時間は短く黒点観測もほとんど出来ない。気温も平年より低く梅雨寒になっている。昨年は七月には早くも梅雨が明けていたことを思うと大違いである。
六月22日から、南先生の墓参を兼ねて、「偲ぶ会」を福井で開催した。天気が危ぶまれたが、梅雨の晴れ間で降られることはなく幸運であった。今回も米原廻りの北陸本線で福井に入ったが、敦賀あたりからは新幹線の工事が進んでいた。福井駅周辺もだいぶ高架の橋脚が並んで、金沢からの延伸も近いように思えた。
火星は六月には、太陽との離角も30度を切って、九月の「合」に向けて太陽に近づいていった。季節は北半球の春分過ぎのλ=033°Lsから046°Lsまで進んだ。視直径は4秒角を下回り、観測報告は既に途絶えている。
MRO/MARCIの画像を見ると、大きな北極冠が見えていて、マレ・アキダリウム北部の極冠周辺が明るく捉えられている。大きな擾乱は起きていないが、ときどきダストストームの発生が見られる。マレ・アキダリウム北部には弓状のダストの筋が懸かる時があるが、いずれも短い期間で治まっている。タルシス山系やエリュシウム・モンスなどには、山岳雲が日替わりで明るく懸かっているが、アルバには、まだ顕著な明るさは現れていない。地表の地形がだいぶ見えてきているが、昨年の黄雲で変化のあった、オクシア・パルス付近は、まだ旧状には回復していないようである。
七月10日記
火星課長 村上昌己