CMO/ISMO 2018 観測レポート#21
2019年四月の火星観測 (λ=004°Ls ~λ=019°Ls)
村上 昌己
CMO
#484 (
♂・・・・・・ 今期21回目のレポートは『火星通信』に報告のあった四月中の観測を取り上げる。
火星は四月上旬には、夕空の「おうし座」で、プレアデスとヒアデス星団との間を通過していった。視赤緯 D は21°Nから24°Nをこえて赤緯最高に近くなっている。月末には「おうしの角の間」にまで進んで、日没後の西の低空に弱々しく光っているのが見えていた。
四月中には季節 (λ) は、004°Lsから019°Lsに進み、視直径(δ)は4.6"から4.2"とさらに小さくなってしまった。傾き(φ)は11°S台から02°Sとなり、火星像は正面を向いてきた。位相角(ι)は29°台から24°台と欠けは小さくなっていった。北半球の春分(λ=000°Ls)をすぎて傾きも正面に近くなり、北極域や北半球の事象に関心が深まるが、視直径は小さくなって、観測期は終わりになってしまった。
この期間を挟んでの視直径δの変化や、欠けぐあいなどを20日毎のグリッド図でしめす。
♂・・・・・・ 四月には報告数は少なく、詳細を捉えることはできなかった。口径の大きな望遠鏡には暗色模様はまだ捉えられるようである。今接近期観測の未発表の画像をお持ちの方は追加で報告をしていただきたい。
♂・・・・・・ MRO MARCI の画像から、上旬・中旬・下旬の火星面の様子を経度別に拾ってみた。北半球の春分を過ぎて、北極冠に陽が当たるようになり、北半球の活動が捉えられている。タルシス付近の高山ばかりでなく、テムペ、アルバ、エリシウム・モンス等が氷晶雲で明るく見えるようになってきた。
なるべく破れの少ないところを選んでいるので、日付と間隔は揃っていない。
♂・・・・・・『火星通信』に四月中に寄せられた観測は、以下のように限られた観測者からであった。日本からは阿久津氏から1観測。国外からは、アメリカ大陸側からは1名3観測、ヨーロッパ側からは2名から3観測の、合計4名からの7観測であった。
阿久津 富夫 (Ak) 常陸太田市、茨城県
1 RGB + 1 B + 1 IR Images (
サイモン・キッド (SKd) ハートフォードシャー、イギリス
1 Colour
Image (
マーチン・ルウィス (MLw) ハートフォードシャー、イギリス
1 Colour +1 R(642nm)*
Images (
フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ合衆国
3 Or (610nm) Images (1, 18,
♂・・・・・・ 四月の観測リスト
四月の観測のリストとリンク先を以下に記します。
MELILLO, Frank J (FMl)氏がω=196°Wで撮影。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/190401/FMl01Apr19.png
AKUTSU, Tomio (Ak)
氏がω=295°Wで撮影。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/190407/Ak07Apr19.png
LEWIS, Martin R (MLw)
氏がω=040,
045°Wで撮影。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/190410/MLw10Apr19.png
KIDD, Simon (SKd)
氏がω=028°Wで撮影。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/190411/SKd11Apr19.png
FMl氏が ω=042°Wで撮影。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/190418/FMl18Apr19.png
FMl氏が ω=330°Wで撮影。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/190424/FMl24Apr19.png