CMO/ISMO 2018 観測レポート#05
2018年三月の火星観測 (λ=137°Ls ~λ=152°Ls)
南 政 次・村上 昌己
CMO
#468 (
♂・・・・・・ 三月中の観測報告をまとめて今期五回目のレポートとする。三月には火星は「へびつかい座」から「いて座」へとすすんで、視赤緯Dは、22°Sから23°S台になっている。19日にには、三裂星雲(M20)と干潟星雲(M8)との間を通過して、土星に近づいていった。日本からは、出は午前一時台になってきたが、南中にはまだ日の出時の直後まで待たなければならなかった。
三月には季節はλ=137°Lsからλ=152°Lsになり、北半球の高緯度朝方の朝雲発生の季節になってきた。視直径δは、6.7"から8.4"に眼視観測にも十分な大きさになった。傾きはφ=01°Nから06°Sと南向きになって、南極雲の活動が捉えられている。位相角ιは38°から41°台になって夕方の南半球側が大きく欠けて午前の火星面が小さくなっている。
MRO MARCI の画像は、三月には順調に開示されている。南では明るさを落としているヘッラスが捉えられる他、南半球高緯度の活動が取り上げられている。中旬にはソリス周辺で黄塵の活動があり、月末に向かって繰り返されて、マリネリウス渓谷沿いに拡がっている。
赤道帯霧も午後には活発で、シュルティス・マイヨルを覆って、北部からテュミアマタ方面に雲帯が続いていたり、下旬になるとエリュシウムからリュビアを抜けてシュルティス・マイヨルに達するものも見られた。山岳雲の活動は、南半球のアルシア山を除くタルシス山系では弱まっている。アルバは下旬になってテムペ方向に白雲が拡がるようになっている。エリュシウム・モンス域では日替わりで強弱がある。三月にはサイクロンの発生や大規模な擾乱は捉えられていない。
♂・・・・・・ 三月中には、フォスター氏が御尊父の不幸や、ご自身の旅行中に観測室の屋根が開いて望遠鏡が雨で水浸しになる事故があり報告数を落としている。日本からは、下旬になって天候が落ち着いてきて、熊森氏が継続した観測報告を寄せられている。ベテランの石橋氏もASI290MCのカラーカムで撮影を始めている。また、ヴァリムベルティ氏も報告数を増やしている。しかし、全体に単発的な観測がほとんどで変化はなかなか捉えられない。上記のソリス周辺の活動も 、ヴァリムベルティ氏・熊森氏の画像が領域をカバーしているが、はっきり現象を指摘することは出来なかった。
寄せられた観測数は、日本からは2名30観測。南アフリカのフォスター氏から7観測。オーストラリアのヴァリムベルティ氏とマイルス氏から8観測、ピーチ氏からは、チリ・スコープの遠隔撮影で12観測、プエルト・リコのモラレス氏からは5観測の報告があり、合計7名から62観測であった。
クライド・フォスター (CFs) センチュリオン、南アフリカ
7 Sets of RGB + 7 IR Images (1, ~
5, 16, 20 March 2018)
36cm SCT @ f/27 with an ASI 290MM
石橋 力 (Is) 相模原市、神奈川県
2 Colour
Images (12, 26 March 2018) 31cm
speculum, with an ASI 290MC
熊森 照明 (Km) 堺市、大阪府
14 Colour* + 13 R + 14 B Images (2,
6, 10, 11, 14, 17, 22, 23, 26, 25,~28, 30, 31 March 2018)
36cm SCT @ f/40 with an ASI 290MM & ASI 224MC*
フィル・マイルス (PMl) クイーンズランド、オーストラリア
1
Set of RGB Images (1
March 2018) 51cm Spec with a PGR GS3-U3-32S4M
エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ
5 Sets of RGB + 3 IR
Images (1, 9, 12, 17, 27 March 2018)
31cm SCT with an ASI 290MM
デミアン・ピーチ (DPc) ウエストサセックス、英国 ( チリ・スコープの遠隔操作観測 )
5 Sets of RGB + 7 Colour Images (1,
~ 3, 7, 15, 20, 25, 27, ~
31 March 2018)
Chilescope (100cm Ritchey Chretien)
モーリス・ヴァリムベルティ(MVl) メルボルン、オーストラリア
7 Sets of RGB + 7 IR
Images (2, 6, ~8, 21, 29 March
2018)
36cm Richey
Chretien @ f/35,
with an
ASI 290MM
♂・・・・・・ 以下に各観測を短評する。
1 March 2018 (λ=137°Ls, δ=6.7")
Clyde FOSTER (CFs) 氏がω=070°W、φ=01°NでRGB像とその三色要素、それにIR685像を与えた。望遠鏡は36cmSCT、拡大は2,5×Televue
Barlow,カメラはZWO
ASI290MM使用、フィルターはBaader。RGB像は然程カラフルではないが、R像で多くの暗色模様を示している。マレ・アキダリウムは夕端近くで横になっているから不鮮明であるが、ニロケラスは可成り画面に殘っており、IRでも詳細が出ている。マレ・アキダリウムの底辺は濃く見えている(IRでも)。南の方ではアウロラエ・シヌス近くは射程内に入り、ガンゲスとオピルはRGBでも明確。ソリス・ラクスは未だ朝に近いが割と濃い姿をみせており、チトニウス・ラクスとその西のタルシス山系なども見えている。Bでは南極方面に白雲系の靄が被っている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180301/CFs01Mar18.png
Efrain MORALES (EMr)氏がω=163°WでR,G,B像を撮り、RGB像を作った。IR像も得た。器械は31cmSCT
(LX200ACF 12in)、カメラはASI290MM、RGBフィルターはCustom
Scientific RGB. 暗色模様はさほどの分解能示さないが、中央子午線を挾んでプロポンティスIとプレグラが対峙しているのが見える。然し、もっと優れた點はB像によって、夕縁タルシス邊りから太い白雲が二本ばかり北西方向に流れていることで分解が更に可能ならば面白い結果が見えるであろうと思われる。南極朝縁にも靄が飛び出している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180301/EMr01Mar18.png
Damian PEACH (DPc)氏は
Chileの(30°27'S,
70°45'W)に位置するChilescope
(100cm Richey Chretien)を遠隔操作し現地との協同で火星画像を制作している。今回はω=168°W、φ=01°Nで撮った。撮影時がDPc氏場合
10:15GMTに対してEMr氏は09:56GMTであるから30分ほどの差である。ただ、火星の高度は両者相当違う。その為にシーイングには相当の差が出ると思う。DPc氏の今回の像はシーイングに恵まれた方ではなく、マレ・キムメリウムなどは詳細が出ないが、ケルベルスやプレグラやプロポンティスI 等は形を成している。夕方の白雲はEMr氏像で強く大きく出ているが、DPc氏像では白雲が局在しているように見える。北極冠の邊りもDPc像では好く出ている方だ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180301/DPc01Mar18.png
Phil
MILES (PMl)氏はオーストラリアの観測家でω=275°W、φ=01°Nで良像を齎した。R像だけでなくB像も含め、各単色像も夫々特色がある。51cm鏡でPGR Grasshopper3 GS3-U3-32S4Mと記述。可成り内部の描冩の好いヘッラスが正面に見えている。シュルティス・マイヨルも稍青ずんで格好良く見える。ホイヘンス・クレータも見えている。北端は平べったくなく、尖り型。シュルティス・マイヨル東端の飛び出しは好く描冩されている。ノドゥス・アルキュオニウス、カシウスの尖りボレオシュルティスの三点セットは好く見えている。淡化したデルトトン・シヌスに本来あるべき小班點が朝方に見えていて、ここからボレオシュルティスに走る斑點群が綺麗に見えている。北極雲域は白く(特にB像では局在化)、ウトピアの方へ白霧が出ている模様。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180301/PMl01Mar18.png
2 March 2018 (λ=137°Ls, δ=6.7~6.8")
先ずCFs氏がω=050°WでR,G,Bの各像を撮り、RGB合成をした。他にIR685像。RGB合成像は稍杳い感じがするが、R像に助けられて可成りのディテールが描かれている。クリュセ領域を可成りの數の突き出しが侵している。アウロラエ・シヌスもその一つだが、餘り明確ではない。オピルは明るく、アガトダエモンとチトニウス・ラクス東岸とその相棒はハッキリしている。ソリス・ラクスも形は綺麗ではないが濃いところは指摘できる。マレ・アキダリウムはRで形が好いが、RGBではマレ・アキダリウムに掛かる白雲が面白い構造をしており、夕端からヘーズがマレ・アキダリウム西岸まで届いているようで複雑な感じである。マレ・アキダリウム北部には濃い斑點が見える。ニロケラスも白雲の影響を受けている。RGBの南極方面にはヘーズが盛り上がって見える。GとBの結果である。Bで白雲の分布がもっと綿密に描かれればマレ・アキダリウムの内部がもっと面白い形になったであろう。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180302/CFs02Mar18.png
DPc氏がChilescopeとのコラボでω=159°WのRGB像を得た(單像)。シーイングはすっきりしないようでマレ・シレヌムなどの暗部は明確な模様を見せないが、マレ・キムメリウムのクノーベル・クレーターや ゲール・クレータへの両脚が朝縁近くで、鮮明に見え驚きである。その北では朝霧を出た形でトリウィウム・カロンティスがボンヤリ見えていて、プロポンティスIが分裂しているように見える。オリュムプス・モンスの白雲が分離して見え、更にその先の夕縁にはタルシス山系の雲が見え、その北端にはアルバが白く目立っている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180302/DPc02Mar18.png
Maurice VALIMBERTI (MVl)氏(メルボルン)がω=272°Wとω=281°Wの40分間隔の二組のRGB合成像を得た。36cm
Richey Chretien @f/22使用、カメラはASI 290MM、フィルターはRGB用にAstronomic Type IIc RGB
filters とIR用にCustom
Scientific Bessell IR filtersを使っている。ω=272°Wの方がやや好く、シュルティス・マイヨルの仔細が窺える。アルキュオニウス、カシウス、ボレオシュルティスの三点セットは確認出來る。どれも ヘッラスが目立っているがBでは明るい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180302/MVl02Mar18.png
Teruaki
KUMAMORI (Km)氏がω=315°WでのL-colour像を11分のderotationで40,000framesから合成し、colour像は24,000像からstackした。L 像はASI290MM使用、colour像はASI224MCによる。他にω=319°WのB像、ω=322°WのR像が示されるが、B像ではヘッラスの痕跡が見えない。その所爲か
L-colour像ではヘッラスは極めて淡い。シュルティス・マイヨルは全体入っており、シヌス・サバエウスとシヌス・メリディアニはしっかり出ているが、ノアキスあたりは曖昧。北極冠域は靄っている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180302/Km02Mar18.png
3 March 2018 (λ=138°Ls, δ=6.8")
CFs氏がω=035°Wで、R、G、B各要素を撮りRGB合成像を得た。他にIR685像。B像が良質なのか、RGBコンポジットの南極方面に雲の凹凸が記録されている他、夕方のマレ・アキダリウムの西岸に白雲の分布が見られる。Rでは朝のチトニウス・ラクスと手前のアウロラエ・シヌス、その間の明るいオピルが好く捉えられている。その北への延長としてガンゲスやニロケラスも描冩されている。一方アウロラエ・シヌスの東方は模様が不鮮明で、マレ・エリュトゥラエウムなどは目立たない。ニリアクス・ラクスとマレ・アキダリウム等の形はRやIRで、北部は濃く南部は淡く捉えられているが、RGBになると形状が白雲の存在で形が崩れる。それと夕方ターミネーター邊りは周邊減光が強い(ι=39°)
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180303/CFs03Mar18.png
DPc氏がChilescope
teamとのコラボでω=146°W、φ=00°NのRGB像單像を提出した。 マレ・シレヌムが見えていると思うが、形など不明確。朝方にトリウィウム・カロンティス周邊とプロポンティスIが見分けられる。多分 B像が好く、オリュムプス・モンスの西山麓の白雲が未だ弱いながら出掛かっている。夕端にはタルシス山系の雲と特にアルバ雲が著しい。南極方面にも弱い白い靄のフードがある。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180303/DPc03Mar18.png
CFs氏がω=020°W、φ=00°NでRGB合成像を作った。RGB各要素の他IR685像も添えられる。どれも良像である。特にR像は模範的である。シヌス・メリディアニが夕端で明確、オキシア・パルスも濃く、マレ・アキダリウムの北部の台座的暗部の中で西側の三角形斑點の濃度は綺麗に描冩され、その北の北極冠も明るい。ニリアクス・ラクスとニロケラスもRでは好く描冩され、アウロラエ・シヌスの緯度も好く描かれている。ただ、マレ・エリュトゥラエウムは特別には分明ではない。RGB像ではB起源の南極方面の雲が広がっている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180304/CFs04Mar18.png
CFs氏引き続き同じ角度ω=020°W、φ=00°Nでの良像(RGB合成像)を送ってきた。R像などは稍浅めのコントラストになっているが、抜かりなく模様を拾い、マレ・エリュトゥラエウムも確認出來るかも知れない。RGBではオピルとアラムが稍赤味を示す。南極方向の白雲は極から離れてこちら側を向いている。CFs氏は前日の朝縁のゴーストは今回は消した。但し北極冠部がボケ、明斑點がややずれて見える。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180305/CFs05Mar18.png
視直徑が7秒角に達した。MVl氏はω=234°W、φ=00°Sで RGB各要素とRGB 合成像及びIR像を送ってきた。シュルティス・マイヨルは既に朝霧から出て、好い形を示す。北ではノドゥス・アルキュオニウスからカシウスも捉えられている。南ではシュルティス・ミノルやマレ・キムメリウムの先端も見えている。南縁ではヘッラスから白い吹き出しが出ているように見える。よく判らないがG像邊りが影響しているか。午後ではエリュシウム・モンスの白雲が見えている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180306/MVl06Mar18.png
Km氏がω=266°Wで (12分derotationに基づき)L-colour
像を拵えた。L像は67,000
frames、カラー像は
24,000 framesをスタック。ヘッラスは中央だが然程明るくない(ω=275°WのB像では目立つが、像は暈けている)シュルティス・マイヨルは普通の姿を見せ、ヘスペリアの入り口、シヌス・サバエウスとの関係など 認知できる範囲。北ではノドゥス・アルキュオニウスからカシウス、ボレオシュルティスなどは見えている。北極冠邊りは靄っている。なお、ω=279°WのR像(22分derotation。123,000
frames)も添えられており、多分これにはホイヘンス・クレーターも見えているかと思う。ヘッラスの 後方のヤオニス・フレトゥムとヘッレスポントゥスの二条線は明確。ヘッラスの外縁も好く捉えられている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180306/Km06Mar18.png
DPc氏がChilescope
teamとのコラボでω=098°W、φ=01°SのRGB像をRGB 三要素と共に提出した。 大変重要な地方時を暗示するもので、オリュムプス・モンスとタルシス三山には未だ山岳雲が濃く懸かっていない。頂上は斑點として見えている。一方アルバ・パテラは真っ白である。アルバ・パテラはλ=060°Lsぐらいとλ=140°Lsぐらいに二度ピークを示す事が知られているが、その二回目に當たる。オリュムプス・モンスはλ=100°Ls邊りでピークを迎えλ=140°Ls邊りでは下降気味だが、収束はしていないはずで、多分更に夕方にると山岳雲は顕れると思う。この追求が得られていないのは殘念である。それは兎も角、アスクラエウス・モンスがオリュムプス・モンスと同様に山岳雲と殆ど無関係にこの時期像が得られたのは貴重である。なお、ω=098°Wの角度で、チトニウス・ラクスの北まで夕雲が覆っていることも證明される。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180307/DPc07Mar18.png
NB: オリュムプス・モンスの西山麓の山岳雲が夕端近くで著しい様子は例えばMark
JUSTICE (MJs)氏の3
April 2016 (λ=132°Ls) at ω=172°Wを参照すると好い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160403/MJs03Apr16.jpg
或いは丁度同じλ=140°Lsでも夕端近くになると著しい山麓雲が見られる例はCFs氏の2016年の次の画像で見ることが出來る。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160420/CFs20Apr16.jpg
MVl氏がω=224°W、φ=01°SでRGB像を合成した。シュルティス・マイヨルが朝端を離れたところで稍青味を帯びている。その南では白いヘッラスが入ってくるところ。マレ・テュッレヌムとマレ・キムメリウムの間にヘスペリアが切れている。この邊りの暗色模様は詳細が暈けているが、案外ゲール・クレータの位置が確かめられる。潜在的に分解能が好いのだと思う。エリュシウムはエリュシウム・モンスの邊りは稍白くなっているが、アエテリアの暗斑は迫力がない。プレグラやプロポンティスIも把握が難しい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180307/MVl07Mar18.png
MVl氏がω=212°W、φ=01°SでRGB像を合成。シュルティス・マイヨルは少し顔を出しているかも知れないが、ゴーストが近くにあり判断は不可。エリュシウムは中央子午線邊りで稍明るくGとBで強く出るから山岳雲。ヘッラスもBで強い。Rではマレ・キムメリウム附属のゲール・クレータの詳細が暗示される。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180308/MVl08Mar18.png
Efrain
MORALES (EMr)氏がω=081°W、φ=01°SでRGB像を合成した。ちょっと見では何處か判らないが、南半球ではソリス・ラクスの邊りが濃く、北半球夕方にはマレ・アキダリウムが支配しているのであろう。B像は靄の配置を好く表しているのだろうと思うが、基本的模様が曖昧でどうにもならない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180309/EMr09Mar18.png
Km氏がL-colour像を4分derotationでω=231°W、φ=01°S で提出。 L像、カラー像共に 24.000 framesで合成。他にB像をω=235°W、R像をω=241°W でスタック(14分derotation)。L-colour像は朝方のシュルティス・マイヨルの色合いが濃いだけで青味が出ていない。マレ・キムメリウムの描冩もすっきりしない。エリュシウムは明るく見えるが周りに生気がない。砂漠の色は好い。Rではシュルティス・マイヨルが矢鱈濃い。アエテリア暗斑はノドゥス・アルキュオニウスと同程度の暗斑。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180310/Km10Mar18.png
Km氏がω=220°W、φ=01°SでL-colour像を17分derotationで提出。L像は40,000 framesから合成、カラー像は前回と同じ。 シュルティス・マイヨルは朝端近くになり、稍青味を示す、然しマレ・キムメリウムは詳細を暗示するが、エリュシウムの内部の明るさと同じで詳細が出ていない。アエテリア暗斑も弱い以外詳細が出ない。プロポンティスIからプレグラは窺えるだけ。 R像はω=229°Wで12分derotationだが、マレ・キムメリウム先端部の詳細は充分出ていない。前回と違い未だノドゥス・アルキュオニウスは濃く見えていない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180311/Km11Mar18.png
EMr氏がω=044°W、φ=02°SでRGB像を合成した。ソリス・ラクス以東の暗部とマレ・アキダリウム邊りの暗部がボンヤリ見えるだけ。Bではマレ・アキダリウムに先立つ夕雲がターミネータ近くに見える
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180312/EMr12Mar18.png
Tsutomu ISHIBASHI (Is)氏が ω=205°Wの單像を作った。
31cm反射 とASI290MC使用。マレ・キムメリウムとエリュシウム内部の明るさとその周りが暗示される。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180312/Is12Mar18.png
Km氏がω=196°W、φ=02°SでL-colour像を6分derotation(32,000像のスタック)で獲得、δ=7.4"の像としては優秀である。Seeing 4/10。像の南西端ではヘッラスの影響が出ていて、マレ・キムメリウムはマルッポ見える。マレ・キムメリウムからヘスペリアの閉じ口を通ってマレ・テュッレヌムへの連絡路も綺麗に見える。エリュシウム内部は詳細が不明だがケルベルスとトリウィウム・カロンティスが大きく擴がって見える。アエテリアの暗斑、プロポンティスIは普通の濃度。但し、マレ・キムメリウムではゲール・クレータへの繋がりが鮮明ではない。 Red像(14分derotation、56,000像)はω=200°Wで、ほぼL像の模様を出しているが、ゲール。クレータの邊りの描冩品は鮮鋭度がない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180314/Km14Mar18.png
DPc氏がChilescope
teamとのコラボでω=027°W、φ=03°SのRGB像單像で示した。夕端のシヌス・メリディアニのブランガエナはじめ、オキシア・パルスからチトニウス・ラクスまでの尖りの暗色模様はどれも出ているし、マレ・アキダリウムからニロケラスの風景も取り込んでいるがどれも鮮鋭度がない。目立つのはB像の結果で、シヌス・メリディアニの北の方に夕方の雲塊が出ているほか南極域には靄が擴がっている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180315/DPc15Mar18.png
CFs氏がω=275°W、φ=03°SでRGB合成像をRGB各要素に基づいて創った。他にIR685像。シュルティス・マイヨルが好位置にあり、ホイヘンス・クレータも垣間見られる。ヘッラス内は稍活動が治まったか、ヤオニス・フレトゥムが割と鮮明(内側にもう一本?)。ノドゥス・アルキュオニウス、カシウス、ボレオシュルティスの三點セットは明確。北極冠の位置も特定できるか、というところ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180316/CFs16Mar18.png
EMr氏がω=010°W、φ=03°SでRGB像を合成し、ω=014°WのIR685像を添えた。R 像でシヌス・メリディアニとマルガリティフェル・シヌスが離れているのが見えるが、その程度で、それ以上の詳細は不明。IRではもう少し細かく見えるのとBに據って南極方面に大きな靄が見える。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180317/EMr17Mar18.png
Km氏がω=162°W、φ=03°SでL-colour像を10分derotation (57,000像のスタック)のL像と24,000 framesのスタックによる224MC像を使って作成、Seeingは3~4/10だから前回より好くない。 マレ・シレヌムが見え、ワルハッラの蔭も見えるか。エリュシウムは未だ朝方。見応えは オリュムプス・モンスの西山麓の白雲。可成り明るくω=166°WのB像にも捉えられて居る。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180317/Km17Mar18.png
CFs氏がω=228°W、φ=04°SでRGB合成像を構成した。IR685像。RGB像は濃度の分布を證明する優れた画像に属する。シュルティス・マイヨルは円盤に入ってきたところで紺色に濃いが、シュルティス・マイヨルに先行して、オシリディス・プロモントリウムが明るい小班點として見える。マレ・キムメリウムも好く出ていて、ゲール・クレーターとそれを支える脚も見える。エリュシウムの内部の描冩も好い。エリュシウム・モンスは白雲で示され、後行する明るい地肌はピンク色で区別される。アエテリアの暗斑も今年の姿を傳えている。ノドゥス・アルキュオニウスは明確で、アエテリアの暗斑と濃度は遜色がない。南極には大きな靄。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180320/CFs20Mar18.png
DPc氏がChilescope
teamとのコラボによってω=318°W、φ=04°SのRGB像の單像にとどめる。シュルティス・マイヨルやシヌス・サバエウスなど出ているが詳細は無い。シュルティス・マイヨルの夕側には夕霧。南極方面から白霧が朝縁伝いに長く見えている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180320/DPc20Mar18.png
MVl氏がω=091°W、φ=04°SでRGB像を合成。他にω=090°WでIR像を付加。 RGB像は砂漠の色が綺麗で、南極域を支配する青白い靄と好い対照。暗色模様はソリス・ラクスが区別できチトニウス・ラクスも細かく出ている。夕べに寝転んだマレ・アキダリウムは顕著ではなく夕霧を交え餘り主張しない。Bでは南極域のコンモリとした白雲と、マレ・アキダリウムとダブルあたりで夕方の白霧を示している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180321/MVl21Mar18.png
Km氏がω=106°W、φ=04°SでL像を10分derotation
(48,000像のスタック)で獲得、224MCcolour像を24,000フレームでスタックし、L-colour
像を完成させた。他にB像をω=115°Wで合成。Seeing3~4/10。L-colourでは、ソリス・ラクスやチトニウス・ラクス関係が夕方に濃く集まっており(マレ・アキダリウムはターミネータ近くに痕跡があるか)円盤像の大半は沙漠色で埋まっている。オリュムプス・モンスの雲は未だ発達しない時刻で、候補跡が稍明るく見えるだけでタルシスの邊りもよく判らない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180322/Km22Mar18.png
Km氏は11分derotationで得た62,000像のスタックでL像を得、224MCカラー像は24,000像のスタックで処置し、ω=090°W、φ=05°S時點でのL-colour像を創った。Seeingは4-5/10であった。L-colour像はかなり良質で、ソリス・ラクスが濃く往年の姿を思わせる。その北にはチトニウス・ラクスが完璧に捉えられてる。アガトダエモンはキチンと見えないが、その南のネクタルなどは詳細を暗示する。アウロラエ・シヌスも未だ完全には出ていないが、オピルは稍軽くガンゲスに沿いガンゲスはルナエ・ラクスと繋がり、更にニロケラスとも連絡、但しマレ・アキダリウムは殆ど夕没である。朝方ではタルシス連山は辿れると思う。ポエニキス・ラクスとアルシア・モンスは並んでいて、アルシア・モンスの北にパウォニス・モンス、アスクラエウス・モンスが暗點として見える。オリュムプス・モンスも出ていると思うがさほどの明るさはない。南極周邊には大きな靄が出ていて、ソリス・ラクスの南まで降りてきているように見える。朝方にはマレ・シレヌムが入ってきている模様。ω=097°WのR 像(10分derotation、62,000像の重ね合わせ) ではマレ・シレヌムが明瞭。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180323/Km23Mar18.png
NB: 視直徑は8秒角になった。 DPc氏がChilescope
teamとのコラボによってω=298°W、φ=05°SでR、G、B各像とRGB合成像を得た。どれも独特の特徴を示す。シヌス・メリディアニが朝端近くに二股で見えており、夕方にシュルティス・マイヨルが大きい。Rではホイヘンス・クレータの中核が見える。シュルティス・マイヨルの北端は舟底型で夕霧が本体の赤道から15°N迄の幅でシュルティス・マイヨルを侵している。模様としては青味を帯びている。これをG光で見ると甚だ面白い。シュルティス・マイヨルの北端は霧を免れている。B像も興味深い。ヘッラスの邊りの雲がBでは強く出ているか。尚ノアキスの東部はRでもGでもBでも暗部になっている。ノドゥス・アルキュオニウスは明確で、アエテリアの暗斑と比較したいところだが、後者は既に夕没。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180325/DPc25Mar18.png
Km氏は10分derotation
で得た62,000像のスタックでL像を得、224MCカラー像は24,000像のスタックで処置し、ω=086°W、φ=05°SでのL-colour像を創った。Seeingは4~5/10であった。 ソリス・ラクスは少し引っ込み思案に見え、アオニウス・シヌスなどとの関係を示唆する。チトニウス・ラクスは強く出ておりオピル・カンドルは明るい。ニロケラスも明確。ポエニキス・ラクスとアルシア・モンスの並列は著しい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180325/Km25Mar18.png
Is氏が ω=056°Wと057°Wの單像二枚。述べ得るような模様は見えない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180326/Is26Mar18.png
Km氏は11分derotationで得た57,000像のスタックでL像を得、224MCカラー像は24,000像のスタックで処置し、ω=068°W、φ=05°SでのL-colour像を創った。Seeingは4~5/10であった。 ソリス・ラクスは可成り中央に出っ張って大きく濃い。こんなに黒いものか?但しタウマジアなどは潰れている。チトニウス・ラクスも明確、オピル-カンドルは稍明るく、ガンゲスに沿っている、アウロラエ・シヌス近くも可成り見えてきた。北半球ではニロケラスが特異な形で見えており、ここに比して夕端近くのマレ・アキダリウムは例の台座を除いて弱い。タルシス関係も暗示されるが鮮鋭ではない。 寧ろ、19分derotationで撮ったω=076°WのR像が斑點をコントラスト好く出すためタウマジアの邊りの濃淡やポエニキス・ラクス、アルシア・モンス、更に北のタルシス山系をより暗示している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180326/Km26Mar18.png
EMr氏がω=274°W、φ=05°SでRGB像を合成しIR685像も添えた。シュルティス・マイヨルが中央で、所在は判るが、それぞれに鮮鋭度が無く、詳細がでない。例えばノドゥス・アルキュオニウスが形を成さない。ヘッラスは白くあかるく、霧がシュルティス・マイヨルに入り込んでいる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180327/EMr27Mar18.png
DPc氏がChilescope
teamとのコラボによってω=280°W、φ=05°SのRGB像とその各要素を示した。RGB合成像ではヘッラスは寧ろ末期的かと思わせる。シュルティス・マイヨルの内部も幾らか見えやすくなって、西岸の突起も幾つか指摘できる。ホイヘンス・クレータやシュレーター・クレーターなどを含む。マレ・テュッレヌムの邊りは夕縁に近く杳い。ノドゥス・アルキュオニウス とカシウス、ボレオシュルティスは 明確。R像ではヤオニス・フレトゥムが濃い。Bではシュルティス・マイヨルの 北半分が消え、その邊りはRGBでは青味を帯びている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180327/DPc27Mar18.png
Km氏は10分derotationで得た52,000像のスタックでL像を得、224MCカラー像は24,000像のスタックで処置し、ω=056°W、φ=05°SでのL-colour像を拵えた。Seeingは3~4/10。 ソリス・ラクスはより朝方だが、内部は杳いだけ。チトニウス・ラクスもぼやけている。タウマジアなどはR像(14分derotation、66,000像のスタック)で所在が判る。R ではニロケラスも明確、マレ・アキダリウムの三角台座も潰れながら濃い。L-colourでは鮮鋭度が低い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180327/Km27Mar18.png
DPc氏がChilescope
teamとのコラボによってω=250°W、φ=06°SのRGB像の單像作成。マレ・キムメリウムの先端やシュルティス・マイヨル全体が出ているが詳細は無い。ヘッラス方面は軟らかな白色。北半球ではノドゥス・アルキュオニウスが目を惹く。アエテリアの暗斑は詳細無く稍濃い。エリュシウム・モンスの山岳雲は夕端で活發。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180328/DPc28Mar18.png
Km氏は20分derotationで得た52,000像のスタックでL像を得、224MCカラー像は24,000像のスタックで処置し、ω=050°W、φ=05°SでのL-colour像を得た。Seeingは2~4/10と落ち目。ソリス・ラクスからチトニウス・ラクスの間は曖昧な描冩。アウロラエ・シヌス近くがメイン。マレ・アキダリウムも潰れていてニロケラスは一塊に見える。オピル-カンドルはすっきりと見える。ω=058°WのR像(22分derotation,
66,000像のスタック) では模様がコントラスト好く表現されていて見応えがある。ソリス・ラクスも往年の姿(1986~1988)を暗示し、アウロラエ・シヌス近くのトゲもリアル、ニロケラスの二つ爪も明確。白黒写真なら見事なグラディエーションで出るだろう。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180328/Km28Mar18.png
再び、 DPc氏がChilescope-teamとのコラボによってω=256°W、φ=06°SのRGB像の單像作成。マレ・キムメリウムの先端が出ているが、詳細は出ない。シュルティス・マイヨルはマルッポ見えているが、多分赤道帯霧がシュルティス・マイヨルに入り込み少し青味を感じさせる。ヘラスの上空と、エリュシウム・モンスの山岳雲が夕縁で甚だ濃い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180329/DPc29Mar18.png
MVl氏がω=360°W、φ=06°SでRGB像を合成。他にω=003°WでIR像を付加。RGB像はまろやかな感じで気持ちの好い作品。Rでゴーストを避けて描いたシヌス・メリディアニはブランガエナなど淡いがRGBに引き継がれている。オキシア・パルスも好く処理されていて、シヌス・メリディアニの北の赤味を帯びた沙漠が捉えられ、オクススの西側の鈍い明るさも描いている。マレ・アキダリウムも全体が平べったく円盤に入り、西北端の台座が稍濃く見えている。南極方面の靄は幾重にも重なっているようで一部はアルギュレを侵している。こうした層雲は、Bだけでは捉えられなくて、Gが活躍する様である。 久方ぶりの丁寧な造りの良像というべきであろう。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180329/MVl29Mar18.png
DPc氏がChilescope
teamとのコラボでλ=151°Ls、ω=249°W、φ=06°SのRGB像とその各要素を例示している。視直徑はδ=8.3"であった。シーイングは向上したらしく、マレ・キムメリウムの先端が可成り詳しく、ゲール・クレータの支え脚や、アエテリア暗斑が二つに割れている事が証明されている。南アウソニアが赤味を帯びているのは目立つ。ほか、エリュシウム・モンスの山岳雲が夕端に來て濃くなっているのが判る。赤道帶霧が北緯10度(10°N)を中心に擴がっていることが、Bで判る。Rでは北アウソニアに縦筋が 何本か見られる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180330/DPc30Mar18.png
Km氏の観測時間はλ=152°Lsに入り、また視直徑dは8.4"であった。Km氏は11分derotationで得た48,000像のスタックでL像を得、224MCカラー像は24,000像のスタックで処置し、ω=027°W、φ=06°SでのL-colour像を得た。Seeingは2~4/10。 L-colour像はマレ・アキダリウムが中央にあるにも拘わらず、全体がひ弱そうに見える。但しシヌス・メリディアニは二股に見えるし、オキシア・パルスは際立って濃い。アウロラエ・シヌス近くの明斑はオピルによるものであろう。ソリス・ラクスは独立しないが同じ緯度は東西に可成り濃く見えている。マレ・アキダリウムの北半分も可成り濃い。 ω=040°W のR 像も付随するが詳細に關して付け加えることはない。ただ、Rではソリス・ラクスが形を成している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180330/Km30Mar18.png
DPc氏がChilescope
teamとのコラボでλ=152°Ls、ω=234°W、φ=06°SのRGB像とその各要素を例示している。月末を飾るに相応しく、δ=8.4"ながら、予期以上の詳細である。シュルティス・マイヨルは完全に円盤の中で少し青味を示す。眼を惹くのはマレ・キムメリウム先端部の詳細で、シュルティス・ミノルに呼応している。ハーシェル・クレターも出て、クノーベル・クレーターとゲール・クレーターを含む兩脚は明確。先端部のさらに先の方も細かい斑線がが分布している。詳細はR像でチェック出來る。ノドゥス・アルキュオニウスも完全形で、先行するアエテリア暗斑より濃い。アエテリアの暗斑は二筋に分裂気味で、前回接近時の様子を彷彿させる。エリュシウム内は赤味の地肌の部分とエリュシウム・モンスの白雲に分かれる。ウトピアの南縁の様子も好く出ている。南極方面にはヘッラス起源と思われる白霧が顕著。その北には南アウソニアが赤味を示す。Bではエリュシウムの南に赤道帶霧の名残。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180331/DPc31Mar18.png
Km氏は10分derotationで得た67,000像のスタックでL像を得、224MCカラー像は24,000像のスタックで処置し、ω=009°W、φ=06°SでのL-colour像を得た。Seeingは4~5/10で前回より向上。L-colour像はソフトな表現で、シヌス・メリディアニは二股は出ているが、ブランガエナなどの詳細は出ない。マルガリティフェル・シヌスも淡く、もっと高緯度の方が濃い。その西はアウロラエ・シヌス止まり。マルガリティフェル・シヌスとアウロラエ・シヌスの間には黄塵の筋があるか?マレ・アキダリウムも大きいが淡く描かれている。ω=016°WのR像(12分derotation、50,000-frames)では可成りの詳細が出ており、マルガリティフェル・シヌスの南西方向に黄塵の筋か? マレ・アキダリウム内部の濃淡が好く描かれている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180331/Km31Mar18.png