CMO/ISMO 2016 観測レポート#19
2017年一月のISMO火星観測 (λ=291°~309°Ls)
南 政 次・村上 昌己
CMO
#459 (
♂・・・・・・今期十九回目のレポートは2017年一月中の観測を取り扱う。一月には火星は「みずがめ座」を順行をして「うお座」に進み、夕刻の西空で金星と並んで光っていた。この期間の元旦には「海王星」に接近して追い抜いていった。視赤緯Dも8°Sから月末には0°N台と進んで北の空に戻ってきている。視直径はδ=5.7"から5.1"と小さくなったが、先月と替わらないメンバーから報告が寄せられている。季節はλ=291°Lsからλ=309°Lsまで進んでいるが、まだ南半球の黄雲発生の時期は続いている。傾きは期間中にφ=25°Sを越して下旬に最大の26.4°に達して戻り始めている。大きく南を向いていて残留南極冠が、まだ小さく確認できる。位相角ιは37°から32°と戻っている。
MRO MARCIの画像には、18日(λ=301°Ls)と23日(λ=304°Ls)にエオスあたりに黄塵の活動が捉えられている。いずれも前日にクリュセ付近にあった黄塵が共鳴したと思われるが、活動は数日で沈静化している。また、アルシア・モンスの山岳雲の活動も日替わりにまだ続いているのが判る。
この季節の黄塵活動に関してはCMO#438の記事
「北の秋分以後のクサンテからルナエ・ラクス近傍での擾亂」が参考になる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/438/ISMO_Note_2014_11.htm
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn4/CMO438.pdf (英文)
♂・・・・・・この期間には、7名の報告者から43件の報告があった。国内からは1名4観測、アメリカ大陸側から3名20観測、ヨーロッバから2名5観測、南アフリカから1名14観測の内訳である。
追加報告は森田(Mo)氏からで、未処理だった2016年5月の撮影の15件である。
クライド・フォスター (CFs) センチュリオン、南アフリカ
2 Sets of RGB + 7 R
+ 7 IR Images (1*, 5*, 9, 10,~12, 14, 15, 18, 22, 23, 25,
36cm SCT @f/22,
@f/33* with an ASI290MM
マノス・カルダシス (Mkd)
アテネ、ギリシャ
2 Colour Images (3,
マーチン・ルウィス (MLw)
セント・アルバンス、英国
3 Colour Images
(18, 20,
ポール・マキソン (PMx) アリゾナ、アメリカ合衆国
4 IR Images (5, 7, 12, 29,
フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ合衆国
4 IR Images (1, 15, 16,
エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ
10 Sets of RGB +
11 IR Images (1, 2, 9, 14, 15*, 19*,
20*, 23*, 25*, 26* January 2017)
31cm SCT with a Flea 3 & ASI290MM*
森田 行雄 (Mo)
廿日市市、広島県
4 Sets of LRGB
Images (1, 3,
♂・・・・・・ 1月の観測に関して日を追って寸評する。
缺測は 4, 6, 8, 17, 21, 24, 27, 30 Januaryの8日間であった。
1 January 2017 (λ=291°Ls~292°Ls, δ=5.7", φ=25°S)
Yukio MORITA (Mo)氏がお正月初っぱなから優れた像を得た。視直徑δ=5.7"であるが、迷いの無いLRGBおよびRGB合成像をω=329°Wとω=335°Wで拵えた。些し殘念なのは、40分間隔には些し足りないこと。小さくなった南極冠はどれにも明白で、傾きから見て、南極冠の中心が南極點から可成り離れていることは直ちに明確である。(この点については、シーズン終了後、p←→f の表示の觀點からどれぐらいのズレか調べるつもりである。) ω=329°WではRの作用として、RGBでヤオニス・フレトゥムが太く出ているのが他と違う。マレ・セルペンティスの幅広も明確である。ヘッラスの南部は稍翳っていて、これは他のカラー像とも共通だが、ヘッラス南端と南極冠の間の描写が一段上だと思う。特に南西から北に白い吹き出しがあって、これがヘッラス南部やヘッレスポントゥスから暗線などの絡みがより鮮明であるように思う。ω=335°Wの像では、パンドラエ・フレトゥムの内部の段々濃淡がみごとで、そこからデウカリオニス・レギオを横切ってシヌス・サバエウスの方に暗線が奔っているように見える。ノアキスの濃淡もω=335°W像の方が描写力が高い様に見える。Rにはノアキスにヒュッルスがはしって見える。兩ωでシュルティス・マイヨルは変わらない。ホイヘンス・クレータも最早詳細は難しいか。シヌス・メリディアニは前者でも見えるが、後者ではより明確である。なお、北端の白霧は両者に捉えられている。L像の締まりは期待以下である。元々Lは模様の縁取りを担うものであるから、濃度は洗練され、境界は先鋭であるのが望ましい。暈けたL像は意味を成さない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170101/Mo01Jan17.jpg
Clyde FOSTER (CFs)氏はω=062°Wとω=072°WのIR685像を得た。南極冠は見える。両方とも夕縁の暗線が物理的でなく、ゴーストのようである、尤も、暗部のシヌス・メリディアニと明るいアラムは尋常に出ているのかもしれないが、その南の太いゴーストとのキレが好くない。マルガリティフェル・シヌスの描冩は前者後者に連続性が保たれているようには見えない。アウロラエ・シヌスから朝方、チトニウス・ラスクやソリス・ラクスなどは正常に見えている。オピルは明るい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170101/CFs01Jan17.jpg
Frank MELILLO (FMl)氏はω=157°WでIR610像を撮った。マレ・シレヌムとその南が濃く出ていて、南極冠の存在も判る。colorised像も提示されているが、コントラストが揚がったぐらいで、意味がわからない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170101/FMl01Jan17.jpg
Efrain MORALES (EMr)氏はω=167°WでR,G,B要素を撮り,RGB合成像を成した。南極冠は小さく綺麗で、砂漠の色も落ち着いてリアルだし、南半球の色合いも好い。中央に、詳細はないが、マレ・シレヌム全体が横たわっている。パエトンティスが稍赤ワインの色でその南にパルヌリ・フレトゥムからマレ・クロニウムが稍淡く横たわっている。北半球のトリウィミウム・カロンティスなどは白い朝靄の下にあるようだ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170101/EMr01Jan17.jpg
EMr氏は前日と同じような優れた色合いの像をω=158°Wで作った。南極冠は然程白くないが、綺麗に小円となって見える。東側に白い靄が見える。マレ・シレヌムが比較的濃く見えて、 パエトンティス邊りは黄土色。ソリス・ラクス邊りはまだ顕著ではない。北の沙漠は好い感じだが、詳細は見えない。北縁は白くもやっている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170102/EMr02Jan17.jpg
Mo氏がω=313°WでRGB及びL要素を撮り、LRGBとRGB合成像を得た。δ=5.7"としてはシュルティス・マイヨルなどキチンと出ている。南極冠はRGBで綺麗な小円だが、L像には朝方に何かおかしなゴーストが起こっていて、LRGBにも影響している。ヘッラスは抜けているが、地肌であろう。Rではヘッラスとノアキスの境の暗帯が綺麗で、マレ・セルペンティスの幅広の尻尾が顕著。北縁はBで明るくなっているが、RGBでは然程目立たない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170103/Mo03Jan17.jpg
Manos KARDASIS (MKd)氏が36cmSCTにDMK21AU618をくっ付けてω=055°Wの合成像を拵えた。南極冠は些しボケ気味だが、マレ・エリュトゥラエウムより北の暗色模様は強く出ていて、マルガリティフェル・シヌスの北部はアラムに接して明確で、夕端にシヌス・メリディアニの残痕が分離して淡く見える。アルギュレ邊りも地肌が見える。アウロラエ・シヌス邊りも明確でオピルも見え、ソリス・ラクスの邊りも朝縁近くに濃く見え、チトニウス・ラスクも円盤に入ってきている。北半球のニリアクス・ラクスは淡く見え、その北は北縁の白靄に隠れている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170103/MKd03Jan17.jpg
Paul MAXSON (PMx) 氏がω=177°WでIR像を撮った。25cm ドール・カーカム鏡と290MMカメラ使用。どうも夕方のゴーストの處理が不十分で、マレ・シレヌムの北やマレ・キムメリウムとの繋がりなどの信用度も薄い。南極冠も然程明確ではない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170105/PMx05Jan17.jpg
CFs氏はω=043°WでのL-colour像を得た。南極冠も不明確だが、マルガリティフェル・シヌスの北部などがハッキリしている。シヌス・メリディアニは夕端に殘っているが、形は分からない。ニリアクス・ラクスの痕跡はみえるが北縁の白霧は明白ではない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170105/CFs05Jan17.jpg
PMx 氏はω=160°WでIR685像を撮った。依然夕縁近くにゴーストが覆って、南極冠も弱い。マレ・シレヌムとその西端あたりが濃く出て成果か。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170107/PMx07Jan17.jpg
CFs氏はω=350°WでIR685像を得た。この像も夕縁近くでシュルティス・マイヨルのゴーストの産物を抱えていて、ヘッラスを半ば覆い、南極冠も不明確だが、シヌス・サバエウスとシヌス・メリディアニは格好良く出ていて、マレ・セルペンティスの幅広尻尾も見える。シヌス・メリディアニの北端も鋭い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170109/CFs09Jan17.jpg
EMr氏がω=093°WでRGB合成像とIR685像を作像した。南極冠が白く綺麗で暗帯が取り巻いている。些し、その東方に白霧の飛び出しがあるやも知れぬ。ソリス・ラクスは画面中央でRやIRでは円く濃い。RGBではそれほどコントラストは強くないが、 南のデプレッシオ・ポンチカやアオニウス・シヌスは分別出來る。オピルは明るくチトニウス・ラクスも明確。東のアウロラエ・シヌスから南にかけての暗部は可成り濃い。アルギュレの地肌も些し殘っている。北縁は稍白いか。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170109/EMr09Jan17.jpg
CFs氏は前日と同じω=350°W(時刻は40分ずれている)でIR685像を得た。前日と同じゴーストを抱えており、南極冠は殆ど見えない。シヌス・メリディアニの形は前日に劣る。マルガリティフェル・シヌスの北端は見えている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170110/CFs10Jan17.jpg
CFs氏はω=345°WでのIR685像とω=346°WでRGB合成像を得た。RGB合成像はBaader RGB filters像によって作ったらしい。IR685像では前日と同じような夕縁のゴーストが出ているのだが、Rでも出ていて、これはRGB合成像ではこの部分がまるでバックの黒に沈むようになって餘り目立たない。(Rではゴーストの幅が可成りあって、ヘッラスはその西に姿を見せているが、RGBではヘッラスが夕縁に來ているように見える。) Rではシヌス・メリディアニとシヌス・サバエウスが幅広のマレ・セルペンティスの尻尾と共に見えるが、これはRGBに反映されている。南極冠はG以外では鮮明ではない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170111/CFs11Jan17.jpg
PMx 氏はω=111°WでIR685像を撮った。矢張り夕方のゴーストが目障りであるが、ソリス・ラクスはその埒外で、濃く独立している。ポエニキス・ラクスも見えている。マレ・シレヌムは朝縁まで濃く見えて、その南のマレ・クロニウムの尾も些し見えている。南極冠は出ていて、西側には暗帯が見える。處理が好ければ、未だまだこの邊りの描冩は可能な感じ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170112/PMx12Jan17.jpg
CFs氏はω=333°WでのIR685像。夕縁のゴーストは強く、シュルティス・マイヨルもだいぶ円盤に入ってきたが、東部はゴーストに侵されている。シヌス・サバエウスは見えているが、シヌス・メリディアニは朝縁に近くなって弱い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170112/CFs12Jan17.jpg
MKd氏のDMKによるω=331°WでのRGB合成像で、優秀な綺麗な像である。南極冠も適切な感じで周りのフリンジも好い感じ。その外側で、ヘッラスの南縁の暗帯の南に当たるところは稍明るい。明るさはヘッラスの北部ほど。ヘッラス内部の南側はやや翳っている。ヤオニス・フレトゥムも南に延びてその先、南極冠の外側からノアキスに掛けても可成り微妙な描冩になっている。ノアキス北のパンドラエ・フレトゥムも美事で、デウカリオニス・レギオもやや赤味を帯びて明るく出ている。シュルティス・マイヨルからシヌス・サバエウスに掛けての描冩もこの視直徑では申し分ない。シヌス・メリディアニは多分朝縁にあってまだ明確ではない。北縁の白い靄の描冩も好い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170113/MKd13Jan17.jpg
CFs氏はω=312°WでR像のみ。シュルティス・マイヨルとシヌス・サバエウスの東部、ヘッラスが分別できる程度。夕縁には太いゴーストバンド。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170114/CFs14Jan17.jpg
EMr氏がω=040°WでRGB合成像とω=036°W、ω=042°WでIR685像。Flea3使用。南極冠はGで明るく出るが、B像でボケボケ。RGB合成像では中央のノアキス全体に赤茶けた領域があって奇妙。R像の所爲か。一方で北縁では緑色がかった白雲か。シヌス・サバエウスとマルガリティフェル・シヌスは暗部としてが分かる。これはIR像でも同じ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170114/EMr14Jan17.jpg
CFs氏はω=308°WでR像。依然、夕縁に濃く太いゴースト。シュルティス・マイヨル、ヘッラスマレ・セルペンティスは同定される。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170115/CFs15Jan17.jpg
FMl氏がω=014°WでIR610像。シヌス・サバエウスとマルガリティフェル・シヌスからパンドラエ・フレトゥム、ヘッレスポントゥス沿いに暗部が流れる。デウカリオニス・レギオがシッカリでない。南極冠も弱い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170115/FMl15Jan17.jpg
EMr氏がω=038°WでRGB合成像とIR685像。ASI290MM使用。前日の赤茶けた色は正常に戻り、ノアキスは些し褐色がかっている程度。前日と違い、ニリアクス・ラクスが可成り濃く出ていてその北縁は白雲(前日の像ではIRでもニリアクス・ラクスは弱い)。シヌス・サバエウスは十分濃い。南極冠も感じが好く、これは案外良像であろう。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170115/EMr15Jan17.jpg
FMl氏がω=008°WでIR610像。シヌス・サバエウスがシヌス・メリディアニと共に濃く出ていて、マルガリティフェル・シヌスの北部からパンドラエ・フレトゥムからヘッレスポントゥス沿いに暗色模様帯が奔る。両日とも像のColorized版が提示されるが意味は分からない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170116/FMl16Jan17.jpg
CFs氏はω=264°WでR像。依然として夕縁に極太のゴースト。 マレ・キムメリウムから夜明けのシュルティス・マイヨルまでは見えている。ヘッラス、北アウソニアには擾亂は無い模様。南極冠は觀えない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170118/CFs18Jan17.jpg
Martin LEWIS (MLw)氏がω=298°WでASI224MCによるcolour像。44cmドブソニアン使用。南極冠も重くないダークフリンジで綺麗に円く出ている。色彩は餘り豊富でないが、些し赤味のアウソニアや赤味のないヘッラスなど微妙は変化を捉えている。シュルティス・マイヨルも程良い濃淡と輪郭を示す。マレ・キムメリウムは夕端に近く、朝方ではマレ・セルペンティスの幅広尻尾が見えている。北縁には白霧。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170118/MLw18Jan17.jpg
EMr氏がω=352°WでRGB合成像とIR685像。290MM使用の所爲か、夕方に見えるヘッラスの横幅が奇妙に狭く、これは夕縁に見える縦走暗帯がゴーストであるからだろう。マレ・セルペンティスの尻尾の幅は出ているが、シヌス・サバエウスも奇妙な感じである。南極冠は好く、ダークフリンジを越えた東北側に些し明るいところがある。Gに顕著。シヌス・サバエウスのアエリア側の沙漠は赤っぽい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170119/EMr19Jan17.jpg
MLw氏がω=260°WでASI224MC-colour像。二日前と40°W違いで南極冠が痕跡を示さない。アウソニアの形なども出ないぐらいにシーイングは悪いのであろう。夕方のマレ・キムメリウムと續くマレ・テュッレヌム、朝方のシュルティス・マイヨルは存在が分かる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170120/MLw20Jan17.jpg
EMr氏がω=343°WでRGB合成像とIR685像。夕方のシュルティス・マイヨルと昼間のシヌス・サバエウスはマレ・セルペンティスも含めて好い感じだが、ヘッラス内部の南側は翳っているが、北側は矢張りまだ幅が狭く見える。南極冠はほぼ上手に描冩されて、その東北の暗帯を越えた明部もRGBで顕著に出ている(GとR)。シヌス・サバエウスの北側の沙漠は矢張り赤っぽく見える。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170120/EMr20Jan17.jpg
Mo氏がω=131°WでRGB及びL要素を撮り、LRGB像とRGB合成像を作った。R像でソリス・ラクスとマレ・シレヌムが確認されるが、然程明確ではない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170122/Mo22Jan17.jpg
MLw氏がω=239°WでASI224MC-colour像。南極冠が些し明らかで、アウソニア邊りのおむすび型の明部は像の確かさを印象づける。マレ・キムメリウムとマレ・テュッレヌムは可成り出ている。シュルティス・マイヨルは朝縁に入るところ。北半球にもそこそこに暗點がある模様。北縁の白部に接して少し暗部が出ている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170122/MLw22Jan17.jpg
CFs氏がω=245°WでR像。マレ・キムメリウムとマレ・テュッレヌムは濃く出ていて、ヘスペリア内にトゲの出し合いをしている。アウソニアは明白ではない。夕縁の太いゴーストは依然健在。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170122/CFs22Jan17.jpg
CFs氏がω=237°WでR像。マレ・キムメリウムとマレ・テュッレヌムは明確で、アウソニアも少し明るくお結び型にでている。南極冠は殆ど表出されず、南半球夕縁には太いゴースト。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170123/CFs23Jan17.jpg
EMr氏がω=320°WでRGB合成像とIR685像。同じくASI290MMだが、怪しい太い筋は南極冠東側だけで、ゴーストでないかもしれない。シュルティス・マイヨルが可成り円盤内に入り好い描冩。ヘッラス全体も好く描かれ淡い蔭の内部構造部分が中央付近に見られる。ヘッラスと南極冠の間にはR,Gと共に白味の明部を見せている。IRではパンドラエ・フレトゥム とシヌス・サバエウスが朝方で太い二重暗帯をを見せる。良像である。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170123/EMr23Jan17.jpg
CFs氏がω=224°WでR像。マレ・キムメリウムがラフに横たわっているのが見える。南極冠の片鱗もない。アウソニアは形は拙いが、少し明るく捉えられている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170125/CFs25Jan17.jpg
EMr氏がω=295°WでRGB合成像とω=294°WのIR685像。シュルティス・マイヨルが像中央で、ヘッラスとアウソニアは予想される通りだが。マレ・キムメリウムの姿が崩れている。RとGでは南極冠のダークフリンジが綺麗。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170125/EMr25Jan17.jpg
EMr氏がω=285°WでRGB合成像とω=289°WのIR685像。前日の像より模様が曖昧になり、マレ・キムメリウムなどはゴースト化していると思う。IRではヘッラスの内部構造は納得。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170126/EMr26Jan17.jpg
CFs氏がω=188°WでR像。マレ・シレヌムが夕方に濃く見えるが、その南西の様子がクッキリせず、南極冠も不明。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170128/CFs28Jan17.jpg
PMx 氏はω=303°WでIR685像を撮った。シュルティス・マイヨルやヘッラス、シヌス・サバエウスの付け根など色んな特徴を捉えているのだが、シュルティス・マイヨルの北端が異常に濃い斑點となっている點や、マレ・テュッレヌムの邊りがどうなっているのか分からない。夕縁は明るいはずと思うが、これにはまるで杳い縁取りがある。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170129/PMx29Jan17.jpg
FMl氏がω=241°WでIR610像。マレ・キムメリウムが濃く出ている。マレ・テュッレヌムの一部とアウソニアが捉えられているか。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170129/FMl29Jan17.jpg
PMx 氏がω=285°WでIR685像を撮像。前日と同じ絵柄で、マレ・キムメリウムの化け物であろう。ヘッラスは北半分が明るく南半分に蔭で正常な感じ。南極冠も位置を示しているか。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/170131/PMx31Jan17.jpg
♂・・・・・・ 追 加 報 告:
森田 行雄 (Mo) 廿日市市、広島県
15 Sets of LRGB Images (1, 11, 13, 17, 18, 20, 22, 23,
♂・・・・・・・ 追加報告のレビューは、観測シーズン終了後のReportでまとめることになる。
画像は以下のリンクから見ることが出来る。
Mo: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/index_Mo.html