CMO/ISMO 2016 観測レポート#17

2016年十一月のISMO火星観測 (λ=253°~272°Ls)

南 政 次・村上 昌己

CMO #457 (25 December 2016)


・・・・・・十七回目のレポートは2016年十一月中の観測を取り扱う。火星は順行を続けて、「いて座」から「やぎ座」へと移動した。視赤緯D17°S台にもどり北半球では少し高くなった。夕方の南西の空にあって、宵の明星を追って沈んでゆく。季節はλ=253°Lsからλ=272°Lsと南半球の夏至を過ぎたところまで進んだ。視直径はδ=7.5"から6.5"とかなり小さくなっているが、傾きはφ=12°Sから20°Sと大きく南向きになって、小さくなって偏芯を示す南極冠が捉えられている。位相角ι44°から41°と変化したが朝方の欠けはまだ大きい。

 

 十一月になると、国内の天候は周期的に変化して、寒暖の差も大きくなり冬型の気候へと替わっていった。下旬には関東では半世紀ぶりという降雪を記録している。報告者も減り、カラーカム画像やIR画像がほとんどで、RGB分解画像の提出は少なくなり、暗色模様の確認はできるが、気象の解析は難しくなった。

 期間中に捉えられたこととも少なくなっているが列挙すると、この期間にも黄塵活動は捉えられていないこと、南極冠は、偏芯によりアルギューレの南では明るく判るが、マレ・キムメリウムあたりの経度では目立たなくなること、マレ・セレペンティスの濃化・肥大の続いていること、ヘッラスの北東部の明るいこと、北極雲は目立たなくなってしまったこと等である。MRO MARCIの画像を見るとノウォス・モンスは中旬には分離して縮小を続け月末にはごく小さくなっていること、アルシア・モンスの山岳雲の活動はまだ継続していることなどが判る。

 

・・・・・・この期間には、9名の報告者から52件の報告があった。国内からは27観測、アメリカ大陸側から330観測、ヨーロッバから34観測、南アフリカから111観測の内訳である。追加報告は十二月21日〆切として217件で、ポール・マキソン氏の十月中の観測等である。

   

    クライド・フォスター (CFs) センチュリオン、南アフリカ

       8 Colour + 10 IR Images (1, 3,~ 8, 12, 13, 15, 16 November 2016)  36cm SCT @f/33 with an ASI290MC

    マノス・カルダシス (Mkd) アテネ、ギリシャ

       1 Colour Image (20 November 2016) 36cm SCT with a DBK21AU618

    近内 令一 (Kn)  石川町、福島県

       3 Colour Images (4, 7, 13 November 2016)  41m SCT @f/62 with an ASI290MC

    マーチン・ルウィス (MLw) セント・アルバンス、英国

       1 Colour Image (29 November 2016) 45cm Spec with an ASI174MC

    ポール・マキソン (PMx)  アリゾナ、アメリカ合衆国

       3 Sets of RGB + 3 IR Images  (3, 6, 7 November 2016)  25cm Dall-Kirkham with an ASI290MM

    フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ合衆国

       7 IR Images (1, 2, 12, 13, 16, 27 November 2016)  25cm SCT with a DMK21AU618.AS

    エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ

       4 Sets of RGB + 2 IR Images (2, 14, 19, 25, 29 November 2016) 31cm SCT with a Flea 3

    森田 行雄 (Mo) 廿日市市、広島県

       4 Set of LRGB Images  (3, 5, 6, 20 November 2016)  36cm SCT with a Flea 3

 

 

・・・・・・ 十一月の観測について以下寸評する。次の一ダースの日々で 缺測がある:

9, 10, 11, 17, 18, 21, 22, 23, 24, 26, 28, 30 November

 

1 November 2016 (λ=253°Ls,  δ=7.5", φ=12°S)

     Frank MELILLO (FMl)氏は25cm Meadeを使用し、ω=086°WIR610画像をDMKで撮った。シーイング5/10で ソリス・ラクスの邊りが暗くなっている。南極冠邊りはは明るい。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161101/FMl01Nov16.jpg

 

     Clyde FOSTER (CFs)氏はASI290MCカラー像(と、附属してIR685)C14によって、ω=324°Wで撮った。南極冠はこぢんまりとしていて一部吹き出しがある。ヘッラスの南西に明るいところがある。ヘッラス盆地はIR685像で明確なように内部構造があるようだが全体に黄色く明るく納まりがわるい。ノアキスは杳い。シュルティス・マイヨルには詳細がない。シヌス・サバエウスはボンヤリ見えるがマレ・セルペンティスは明確ではない(IR像では幅広尻尾が三つに分かれて見ている)。ヤオニス・フレトゥムも濃くはない。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161101/CFs01Nov16.jpg

 

 

2 November 2016 (λ=253°Ls~254°Ls, δ=7.5"~7.4")

     FMl氏はω=034°Wで同じIR像を撮った。Seeing8/10でシヌス・メリディアニなどが分離できている、その他マルガリティフェル・シヌスから西方が暗く、マレ・エリュトゥラエウムが濃いようだ。マルガリティフェル・シヌスからオキシア・パルスを經てニリアクス・ラクスの方へ暗線が延びている。南極冠部は明るい。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161102/FMl02Nov16.jpg

 

     Efrain MORALES (EMr)氏は31cmSCT常用でω=047°WRGB合成像を作った。模様全体は好く出ているが全体に沈んで締まらなく見える。但し南極冠は明るく白い。形は出ていないが、偏移した部分がこちらを向いているのであろう。夕方でシヌス・メリディアニが分離し、アラムが明るく(少し赤っぽく)切れている。マルガリティフェル・シヌスも特徴が出ているほう。ニリアクス・ラクスは濃い。クリュセにはエオスから暗部が薄く垂れ下がっている。マレ・エリュトゥラエウムはシッカリしている。その南は少し赤みを帯びたアルギュレを含むと思うが、明白ではなく東西前後が掃けている。

 http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161102/EMr02Nov16.jpg

 

                

3 November 2016 (λ=254°Ls~255°Ls, δ=7.4")

Paul MAXSON (PMx)氏は25cmドール・カーカム鏡とASI 290MMのセットでω=079°WRGB合成像を得た。主にR像によって夕縁にゴーストが出たが、白い南極冠は綺麗である。南極冠は此方に偏移していなくて、やや横側から見ていると思う。暗色模様はソリス・ラクスが中心だと思うが、Rでも分離が宜しい方ではない。然し、観測が続いているのは有り難い。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161103/PMx03Nov16.jpg

 

     Yukio MORITA (Mo)氏はC14使用でRGBLRGB合成像をω=203°Wで撮った。今回はLRGB像の方が好い。但し全体にキレがなく、南極冠も不明確。ω=203°Wでは南極冠の偏芯を追う立場で観づらいかもしれない。マレ・キムメリウムからマレ・シレヌムが見えるのみ。エリュシウムもケルベルスによって場所は判るが本体に精彩はない。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161103/Mo03Nov16.jpg

 

    CFs氏がω=302°WL-colour像。夕端にゴーストのラインが出ていて醜い。シュルティス・マイヨルは大接近型で形は好いが色は黄色みを帯びて汚い。南極冠は小型でクッキリしている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161103/CFs03Nov16.jpg

 

 

4 November 2016 (λ=255°Ls, δ=7.4", φ=13°S)

     Reiichi KONNAÏ (Kn)氏が41cmSCTω=171°W290MCカラー像を作った。シーイングは 0~1/10で全体がぼやけて、南半球の暗帯が見えるが何處か判らない。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161104/Kn04Nov16.jpg

 

     CFs氏がω=291°WL-colour像。黄色い像だが、南極冠は白くこぢんまりとしている。ヘッラスはべージュ色が基本だが、先行するアウソニアは赤っぽい。マレ・テュッレヌムは濃く、ヘスペリアは綺麗にマレ・キムメリウムの先端を分離する。IR685像のシュルティス・マイヨルは形が整っている。ノドゥス・アルキュオニウスもIRでは見えている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161104/CFs04Nov16.jpg

 

 

5 November 2016 (λ=255°Ls~256°Ls, δ=7.4"~7.3")

     Mo氏はω=194°WRGBLRGB合成像を撮った。今回はLRGBRGB合成像も優れないが、RGBの方が落ち着いている。ただ、R像が好くないらしい。南極冠が出ないのは宜しくないが、矢張り南極冠の偏極の後塵を拝している。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161105/Mo05Nov16.jpg

 

     CFs氏がω=272°WL-colour像。些し、黄色みが落ちて、落ち着いてきたが、南極冠が暈けてきた。アウソニアの色も失せている。マレ・キムメリウムは西半分が可成り見えている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161105/CFs05Nov16.jpg

 

 

6 November 2016 (λ=256°Ls~257°Ls, δ=7.3")

     PMx氏は290MMによる成分から、ω=052°W でのRGB合成像を作った。南極冠は白く円く見えている。マルガリティフェル・シヌスからアウロラエ・シヌス邊りまで廣く濃く描かれているが、マレ・エリュトゥラエウムは濃度が然程でない。シヌス・メリディアニも夕縁近くに描かれているが、處理が好くない。マレ・アキダリウムも出ていて、その北部は夕方で霧を被っているようだ。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161106/PMx06Nov16.jpg

 

     Mo氏はω=178°WRGBLRGB合成像を撮った。R像が好くなって、RGB像がベター。R像ではマレ・シレヌムなど幾らか模様が見える。南極冠もみえているようだが、正面ではない。それにG,B像でも同じ確度で出さなければならない。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161106/Mo06Nov16.jpg

 

     CFs氏がω=253°WL-colour像。マレ・キムメリウムが可成り見えている。しかし、南極冠が明確ではない。ω=253°Wでは裏面であろう。アウソニアの形はIRで出ている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161106/CFs06Nov16.jpg

 

 

7 November 2016 (λ=257°Ls,   δ=7.3"~7.2", φ=14°S)

       PMx氏はω=042°WRGB合成像を作成した。シーイングは良好で8/10という紀録がある。しかし、夕縁の處理は拙い。南極冠の描冩は一二を争うもので美事。アラムも明るく切れて、マルガリティフェル・シヌスは濃く、ヒュダスペスが見えている。アウロラエ・シヌスも濃く見えているが、マレ・エリュトゥラエウムは然程目立たない。ニリアクス・ラクスも明確で、アキッリス・ポンスは白霧に覆われて、その北のマレ・アキダリウムの切れ目になっている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161107/PMx07Nov16.jpg

 

     Kn氏がω=133°WL-290MCカラー像。Seeingは依然1~2/10で、南極冠もクッキリしないが、横からの像で些し出ている。暗色模様はωから押して、夕方にソリス・ラクス邊り、朝方にマレ・シレヌムが現れていると思われる。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161107/Kn07Nov16.jpg

 

     CFs氏がω=256°WL-colour像。些し南極冠は裏側に近いが、それらしく出ている。矢張り靄が懸かったような描冩。アウソニアの赤っぽさが些し出て來た。IRではアエテリアの暗斑が北縁近くに明確。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161107/CFs07Nov16.jpg

 

 

8 November 2016 (λ=257°Ls~258°Ls, δ=7.2")

     CFs氏がω=232°WIR685像。マレ・キムメリウムとマレ・シレヌムの西部先端が見える。アウソニアも明るい。南極冠は痕跡も出ない。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161108/CFs08Nov16.jpg

 

 

12 November 2016 (λ=260°Ls, δ=7.1", φ=15°S)

     CFs氏がω=181°WL-colour像、IR685像は撮れなかった。マレ・シレヌムが太く暈けて見える。南極冠域は未だ裏側だが、暈けた明るさ。λ=260°Lsに達した。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161112/CFs12Nov16.jpg

 

     FMl氏はω=299°WIR610画像。シュルティス・マイヨルが中心で、ヘッラスから南極冠が全体に明るい。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161112/FMl12Nov16.jpg

 

 

13 November 2016 (λ=260°Ls~261°Ls, δ=7.1"~7.0")

     Kn氏がω=078°WL-colour像。 1~2/10のシーイングで、南極冠はボケボケながら存在感がある。Ω=080°Wからは南極冠がずれて見えるであろう。南半球ソリス・ラクス邊りが暗部、アルギュレ邊りは抜けているか。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161113/Kn13Nov16.jpg

 

     CFs氏がω=188°WL-colourIR685像。マレ・シレヌムが夕方、マレ・キムメリウムが朝方の構図。 南極冠は厚みがないが、L-colourで見えている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161113/CFs13Nov16.jpg

 

     FMl氏がω=288°Wω=307°WIR610画像。φ=15°Sで北に下がったシュルティス・マイヨルが濃く出ている。ヘッラス部と南極冠は分離している(シーイング5/10)。南極冠は後者の方が好く露呈している。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161113/FMl13Nov16.jpg

 

 

14 November 2016 (λ=261°Ls~262°Ls, δ=7.0", φ=16°S)

     EMr氏がω=284°WRGB合成像。鮮鋭度は無いが、久しぶりの綺麗な像。南極冠は横からの像で、形は明白ではないが、白い。ヘスペリアが切れ上がり、シュルティス・マイヨルは朝方で暈けている。ヘッラスはベージュ色で、些し赤っぽいアウソニアと好い対照。久しぶりに白霧が北極域の夕方に見えている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161114/EMr14Nov16.jpg

 

 

15 November 2016 (λ=262°Ls, δ=7.0")

     CFs氏がω=161°WIR685像。マレ・シレヌムが濃くボンヤリと見える。南極冠も痕跡。北端近くに暗點。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161115/CFs15Nov16.jpg

 

 

16 November 2016 (λ=262°Ls~263°Ls, δ=7.0"~6.9")

     CFs氏がω=180°WIR685像。到頭δ=7"である。マレ・シレヌムの北半分が濃いようである。南半球の濃淡は複雜のようだが描ききれない。南極冠はお尻の方の存在が些し判るだけ。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161116/CFs16Nov16.jpg

 

     FMl氏がω=260°WIR610画像。マレ・キムメリウムからマレ・テュッレヌムが濃く出て、シュルティス・マイヨルは朝縁。南極冠域は裏側からだが、明るい。ヘッラスなどの特徴はでない。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161116/FMl16Nov16.jpg

 

 

19 November 2016 (λ=264°Ls~265°Ls, δ=6.9"~6.8", φ=17°S)

     EMr氏がω=231°WRGB合成像を得る。マレ・キムメリウムが中央に横たわり、アウソニアあたりは明るく、その南はマレ・クロニウムが奔っているようだ。更にその南は南極冠を含むが、南極冠自身は明白ではなく、南極冠は大きく鈍く靄っている感じ。Rでは北のエリュシウムが周邊の暗帯で暗示される。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161119/EMr19Nov16.jpg

 

 

20 November 2016 (λ=265°Ls, δ=6.8")

     Mo氏はω=034°WRGBLRGB合成像を得ているが、R像とL像共に冴えないので、シヌス・メリディアニなどが描冩されない。その南西の暗部は見えている。南極冠は変移している方を見ているはずだが、存在を示す明るさが出ている程度。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161120/Mo20Nov16.jpg

 

     Manos KARDASIS (MKd)氏の久しぶりの画像。C14DBK21AU618でのカラー像で、ω=134°Wでの撮像。今のところ十一月に入ってベスト画像の一葉である。南極冠は横から見ている譯で、形こそ曖昧だが、確固としている。マレ・シレヌムとソリス・ラクスは好く見えていて、パエトンティスやマレ・クロニウムも範囲に入っているであろう。南極冠の北東にはボケがある。ソリス・ラクスの近傍では、アガトダエモンが逃げてゆくところで、その西にはポエニキス・ラクスが濃い斑點として見える。その西にアルシア・モンスの斑點が淡く見えると思う。更に西にはオリュムプス・モンスとゴルヂ・ドルスムの暗斑が見えているようだ(後者の方が光輪が見えて明確)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161120/MKd20Nov16.jpg

 

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     N.B.12003年の大接近の折、ω=134°Wφ=19°Sの画像がStefan BUDA (SBd)氏によって1 September 2003 (λ=252°Ls)に撮られている。比較されたい。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomk/2003/030901/SBd01Sept03.jpg

このときは位相角ιが一桁でオリュムプス・モンスは衝効果で明るく見えているが、今回は衝からほど遠い(ι=42°)23 September 2003にはω=138°W φ=20°SでのDon PARKER (DPk)氏の画像がある(see Note)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomk/2003/030923/DPk23Sept03.jpg

このときは ι21°ぐらいあり、最早オリュムプス・モンスは輝かない。 δ 22"を越えているが、當時の画像は見劣りしますなぁ。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomk/2003/f_image.html

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    N.B.2: 2003年の観測で同じλ=265°Ls邊りで、南極冠が此方を向いている画像を探しても、好い像が見付からない。そこで、MOC global-map image on 21 September 2003から南極冠の様子を示す。中心線がω=134°Wで、季節はλ=265°Lsである。Mkd氏の画像との南極冠と比較されたい。

 

 

 

 

 

 

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25 November 2016 (λ=268°Ls~269°Ls,   δ=6.7", φ=19°S)

    EMr氏がω=189°WRGB合成像を得た。マレ・シレヌムが色違いで際立っている。その南のパエトーンティスとエレクトリスの並び、その南のマレ・クロニウムの暗帯などの明暗が出ている。然し南極冠は裏側からであって、窺えない。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161125/EMr25Nov16.jpg

 

 

27 November 2016 (λ=269°Ls~270°Ls, δ=6.6")

    FMl氏がω=151°WIR610画像。マレ・シレヌムの邊りが濃く出ている。南極冠域は矢張り横側からだが、明るい。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161127/FMl27Nov16.jpg

 

 

29 November 2016 (λ=270°Ls~271°Ls, δ=6.6"~6.5", φ=20°S)

    Martin LEWIS (MLw)氏が44cmドブソニアンでω=071°Wの火星像で、ASI174MCによるカラー畫像。Ω=070°Wの方向からの南極冠は可成り、此方を向いていて円い。マルガリティフェル・シヌスから アウロラエ・シヌスに掛けて濃く、ソリス・ラクスの痕跡も見える。北にはマレ・アキダリウムが 白霧を被っている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161129/MLw29Nov16.jpg

 

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    N.B.3: NB2と同じように、MLw氏のλ=270°LsMOC global-map imageを探すと同じΩ方向のswathは見付からず、Ω=089°Wと些し外れるが、右図のようでほぼ状形は同じであろうと思う。

                                            

 

 

 

 

 

 

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    EMr氏がω=143°WIR685像を得た。マレ・シレヌムとソリス・ラクスは著しく、南極冠も横側からで明るいところが見られるが、こぢんまりとしている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/161129/EMr29Nov16.jpg

 

 

・・・・・・  追 加 報 告 

    マルク・デルクロア (MDc) フランス

       1 R + 1 IR Images (3 August 2016)  32cm speculum with an ASI290MM

    ポール・マキソン (PMx)  アリゾナ、アメリカ合衆国

      15 Sets of RGB + 15 IR Images  (5, 7,~12, 14, 21,~24, 26, 27, 30  October 2016)

                                              25cm Dall-Kirkham with an ASI290MM

 

・・・・・・・ 追加報告のレビューは、観測シーズン終了後のReportでまとめることとする。

 画像は以下のリンクから見ることが出来る。

MDc: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/index_MDc.html

PMx: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/index_PMx.html

 


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