CMO/ISMO 2016 観測レポート#15
2016年九月のISMO火星観測 (λ=214°~233°Ls)
南 政 次・村上 昌己
CMO
#455 (
♂・・・・・・十五回目となる今回のレポートは2016年九月中のISMOの観測報告を纏める。この期間には火星は順行を続け「さそり座」から「へびつかい座」南部を通り「いて座」へ入った。視赤緯Dはこの期間の九月24日に最南の25°54.6'Sになり、以後はゆっくりと北上している。視直径はδ=10.5"からδ=8.8"と10"角を下回ってしまった。中央緯度はφ=07°Nからφ=02°Sと少し南向きに動いて、南極冠がはっきりと捉えられている。季節はこの期間にλ=214°Lsからλ=233°Lsとすすみ、南半球の黄雲発生の時期もたけなわとなっている。位相角ιは46°台を推移して大きく朝方の北半球が欠けている。中旬には最大のι=46.1°となった。
九月には国内では八月からの曇天傾向が続いて、台風・秋雨前線の影響もあり、ほとんど晴れ間が無く報告数は激減してしまった。九月始めに南半球の黄塵活動が捉えられたアメリカからの報告は増えたが、はっきりとした画像は少なく、観測は稠密に行われていない。
♂・・・・・・まず九月の黄塵活動についてであるが、MRO
MARCI Weather Report の画像で活動を追跡してみると、 2日にはヘッラスの北壁の真北に軽い黄塵が起こっているのが見られ、同時にシュルティス・マイヨルの南部で水蒸氣の分布が存在する。3日にはデウカリオニスの中程に黄塵がたち、その東の奥のマレ・セルペンティス附近にもヘッラスとは関係なく砂塵が出ている。
翌4日にはパンドラエ・フレトゥムの東端あたりに可成りの黄塵が明らかで、これは北側の尻尾がシヌス・サバエウスを越え、砂漠の方にも影響している。また、その共鳴黄塵が後行している。5日にはシヌス・メリディアニ/スキアパレッリ・クレータの南方に可成り長い棒状の美事な黄塵帯が見えている。先行するマレ・セルペンティス邊りの黄塵は落ち着いた形でその北には水蒸氣の凝縮が浮いている。
6日には依然黄塵の南北帯がシヌス・メリディアニの南方を支配しているが、マレ・セルペンティスの黄塵は滑らかになったように見える。7日には活動は弱まったのか黄塵跡は滑らかで、マレ・セルペンティスが幅広く濃化した姿を見せるようになった。8日にはその姿がより明確になった。ノアキス南部には先の黄塵の残骸が二ヶ所弱く殘っている。
以下のレヴューにおいては上のMRO-MARCI像との比較でコメントを付けたいと思っている。
♂・・・・・・マレ・セルペンティスの濃化は10日に近内令一氏と11日に大杉忠夫氏撮影の画像が捉えている。全貌は19日以降、南アのフォスター氏が捉えた。天氣の所爲であるが、マレ・セルペンティスの尻尾の巨大化の把握・確認が一週間も遅れたのは殘念であった。この巨大化は2003年にも見られたもので、CMO-Webの2003年のファサード
2003 CMO NEWS HEADLINESのF項 "M Serpentis still darkened and widened"の像をここにコピーする:
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomk/2003/M_Serpentis_June_Nov.gif
2003年の場合、4 July 2003 (λ=215°Ls)に沖縄で観測された黄雲現象の後遺症と考えられている。実際に濃化現象が観測され始めたのは8 July 2003 (λ=218°Ls)ころからで、当該箇所の砂塵が取り払われて地が暗く出たものと思われる。なお、この2003年の記録は福井市自然史博物館研究報告の第58号(December 2011)に発表の“Mars Observations in 2003. Part I”(南政次、中島孝共著)のPlate IVに3 Julyから10 Julyまでのマレ・セルペンティスの動向が40分毎に纏められているので参照されたい。Webでは
http://www.nature.museum.city.fukui.fukui.jp/shuppan/kenpou/58/58-1-10.pdf
でPDF版が読める。2003年の上図から判るように、この濃化現象は長期間にわたると思われるので、適宜追跡をお願いしたい。
他に九月13日にニリアクス・ラクス東部に小黄塵の発生が見られたがこちらは数日で沈静化した。その後九月中は黄塵の発生は捉えられていない。
♂・・・・・・ヘッラスは黄塵発生期には大きくぼやけてはっきりしない像が出たが、MRO-MARCI破れ提灯像でも意外にヘッラスの輪郭は出ている。ヘッラスは底深く、盆地の底では気圧が高く黄雲が這い出してくることは殆どない。ただし、上空の黄雲は平気でヘッラスを侵す。下旬になると地上からも輪郭のはっきりとした姿が捉えられるようになった。アルギュレは明部が逆三角形に見える状態が続いていた。
高山もタルシス三山付近は上旬に暗点で写っているが、だんだんと詳細は写りにくくなっていて画像も少ない。通常アスクラエウス・モンスなどの山岳雲はλ=200°Lsが限度だが、ただ、アルシア・モンスの山岳雲の活動は他の山岳雲と違ってλ=300°Lsころでも継続している。依然アルシア雲のMRO-MARCIの画像ではその特異な姿が見られているが、途中、短い衰退期のあることも知られていて、九月には弱まっているようにも見える時もあった(ただ、今回は衝後にあたり、ほとんど地上からは夕方の長命のアルシア雲は観測できなかった)。
エリュシウム・モンス域も詳細が写っている画像が少なくはっきりしなくなってしまった。
♂・・・・・・北極雲は欠けが大きく翳っていて、しかも傾きが南を向いてきた為もあるが、はっきり輪郭を持って捉えられる事が少なくなった。しかし、北縁には青味を持った明るさが拡がっているのは判る。
♂・・・・・・ この期間には以下のように、16名の報告者から90件の報告があった。追加報告は十月18日〆切として3名20件で、ロバート・シュルツ氏のナミビアでの観測やポール・マキソン氏の八月の観測などである。内訳は国内からは5名8観測、アメリカ大陸側から9名45観測、南アフリカ側から2名37観測であった。ヨーロッパ、オーストラリアからの報告は入らなかった。
ビル・フラナガン (WFl) テキサス、アメリカ合衆国
2
Sets of RGB Images (7,
36cm SCT @f/17 with a PGR GS3-U3-32S4M-C
クライド・フォスター (CFs) センチュリオン、南アフリカ
19 Colour + 19 IR
Images (6,~ 9*, 11~ 15, 19,~
36cm SCT @f/33 with an ASI290MC
*15cm refractor @ f/36 with an ASI
290MC, Johannesburg 天文台
マイク・フッド (MHd) ジョージア、アメリカ合衆国
2
Sets of RGB + 2 IR images (5, 7, ~
20cm
refractor @ f/52, 54 with an ASI290MM
近内 令一 (Kn) 石川町、福島県
1 Colour Image (
熊森 照明 (Km) 堺市、大阪府
1 LRGB + 1 B Images (
36cm SCT @f/38 with an ASI224MC &
ASI290MM
ポール・マキソン (PMx) アリゾナ、アメリカ合衆国
6
Sets of RGB + 6 IR Images (1, 3,~ 6,
25cm Dall-Kirkham with an ASI290MM
ジム・メルカ (JMk) ミズーリ、アメリカ合衆国
1 Set of RGB Images (
45cm Spec
with a DBK21AU618AS
フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ合衆国
5 Colour + 3 IR* Images
(8, 12, 16, 22, 24,
25cm SCT with a ToUcam pro II & DMK21AU618.AS*
エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ
11 Sets of RGB
Images (2,
2n, 7/8, 11, 12, 16, 17, 23,
31cm SCT with a Flea 3
森田 行雄 (Mo) 廿日市市、広島県
1 Set of LRGB&RGB Images (
村上 昌己 (Mk) 横浜市、神奈川県
2 Drawings
(
大杉 忠夫 (Og) 小松市、石川県
3 Colour
Images (2, 11,
ロベルト・シュルツ (RSz) オーストリアから ナミビアのIAS
Observatory に遠征:
6 LRGB
+ 6 IR Image (1,~
チャルレス・トリアーナ (CTr) ボゴタ、コロンビア
1 Set of RGB + 1 IR
Images (
ゲイリー・ウォーカー(GWk) ジョージア、アメリカ合衆国
3 Sets of RGB Images
(7, 9,
♂・・・・・・ 今月も日付順に各報告画像をレヴューする。18 Septemberと 30 Septemberの観測は届いていない。
Paul
MAXSON (PMx)氏がω=350°WでRGB合成像を作成(25cm
Mewlonに290MM装着)。南極冠が白く明るく、フリンジが濃い。ヘッラスは夕縁の明るさに負けて出ないが、マレ・セルペンティスから南は正常に見える。見かけ上、シヌス・サバエウスが中央を占め、Seeingは7/10でアリュンの爪も分かれている風に見える。北極域の雲も白く出ている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160901/PMx01Sept16.jpg
Robert
SCHULZ (RSz)氏は本拠地はWienであるが、南アフリカのNAMIBIAのIAS天文臺 (Internationale
Amateur-Sternwarte)へ出張して、51cm Richey-Chrétienで撮像した。この日ω=201°Wと239°Wで二組觀測。ASI
290MMでの作像だが、合成像はIR-RGBで、これは拙い。IRフィルターはLの役を果たさない。例えば、短波長をカットしているから駄目である。從って極の白雲など描写できない。IR像はIR742フィルターを使用しているが、IR像とR像との描写力の開きが大きすぎる。R単体でこれぐらいの微細構造を出さないと拙い。IR像も許容範囲を超える處理が成されている。(天文台名にドイツ語が使われているのは、ナミビアを植民地とした舊主国がドイツだったからであろう。多分ドイツの援助で建てられたSternwarte=天文台(星見台)であろう。)
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160901/RSz01Sept16.jpg
2 September 2016 (λ=215°Ls~216°Ls, δ=10.4"~10.3")
Efrain
MORALES (EMr)氏はこの日00:19GMTで一回目の觀測でω=311°Wで撮った。R,G,B各像をベースにしたRGB合成像は程良い色調で砂漠は描かれ、シュルティス・マイヨルからシヌス・サバエウスの東部、それにヘッレスポントゥス+ヤオニス・フレトゥムが見えている。南極冠は白く出ていて美事である。λ=215°Lsともなれば南極冠も縮小し始めていて、裾は南に動いているのだが、tilt=φが06°Nまで降りてきて、さらに南向きになるので、両者の攻防で厚さが変わる。大きさはというと、
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/01Coming07j.htm
の図を参照すれば判るように、雪線はほぼ60°Sの線を奔っている筈と思う。一番上の図は、筆者達の一人(Mn)が1986年に臺灣・臺北市立圓山天文臺でλ=198°Ls
(1 July 1986) からλ=
216°Ls (31 July 1986)迄火星の一周を40分毎チェックの方法で觀測したもので、スケッチから南極冠の厚さを計測し圖表化したのは當時の圓山天文臺の張麗霞さんで、CMO#029 (25 March 1987)號に發表された。この後は、二番目、三番目の図を参照して貰えばいい(Referencesは本文の中にある)。タイトルに偏芯についてとあるが、頃合いの明記がないのは可笑しいが、第二、第三の圖から判断すれば、前号に述べたように、λ=235°Ls 邊りが緒となる。
もう一つコメントを加える。MRO-MARCIの2
Septemberの圖によると1
Septemberに近いところではヘッラスの西壁の輪郭がクッキリしている。これはEMr氏の画像でも明確である(R像參照)。しかし、ヘッラス内の靄がシュルティス・マイヨルの方に漏れ出ているように見える。しかし、上のMRO-MARCI像によると、クレータの北壁もはっきりしていて、砂塵はその北に稍見られ、さらには水蒸氣の凝結霧がシュルティス・マイヨルの領域に降りている點が明白である。BとGの取り込みが少し足りないという印象である。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160902/EMr02Sept16.jpg
Tadao
OHSUGI (Og)氏はω=091°Wでいつものように25cm
Mewlonに290MCを仕掛けての撮像である。オピルは明るいが南極冠も北極域の白雲も捉えられていない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160902/Og02Sept16.jpg
RSz氏はω=222°Wだが、IR-RGB合成像で、うまくない。R像でマレ・キムメリウムの西端部が稍出ているが、もう少し出るとRGBで十分だろう。しかし、Rでも(IR像同様)上部縁際の處理が拙い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160902/RSz02Sept16.jpg
EMr氏は23:50GMTでこの日二回目の觀測。ほぼ一回りしたω=294°Wでの像。良像であると思う。ヘッラス盆地にはRで微細構造が出ている。B像が稍整わない感じだが北極雲域の白雲も綺麗である。シュルティス・マイヨルは格好良く、マレ・セルペンティスからその南部に掛けて暗色模様にムラがあるが、小さい黄塵の所爲かもしれない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160902/EMr02Sept16n.jpg
3 September 2016 (λ=216°Ls, δ=10.3")
Jim
MELKA (JMl)氏のω=325°Wでの45cm反射にDMKを装着しての像だが、R像がシュルティス・マイヨルの北端の詳細を見せないほど。多分シーイングが悪く、マレ・セルペンティスの邊りもヘッラスの内部も判断がつかない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160903/JMl03Sept16.jpg
PMx氏は少し遅れてω=329°Wでの良像で重要な像。Seeingは8/10。ヘッラスは夕縁に近く像としては拙いが、ヘッラスの微細も少し見える。ヘッラスの西側には稍異常が見られ、ヤオニス・フレトゥムの南部が濃化しており、北部にはヘッレスポントゥスに挟まれる小領域に小さい黄塵が出ている様子。シヌス・サバエウスの付け根も小黄塵で切られている様子で1 Septの像とは違っている。ノアキスにも擾亂がある模様。これらはIR685像でも確かめられる。北極域の白雲はB像が効いて綺麗に出ている。尚、南極冠の周りの暗帯は可成り濃い。シュルティス・マイヨルの南部も淡化現象が起きている。なお、シュルティス・マイヨルの北端西にアンチゴネ・フォンスと見まがう斑點が出ているが、現在ではこの邊りの微細はよく知られているので、アンチゴネ・フォンスが虚像であることは確かである。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160903/PMx03Sept16.jpg
RSz氏はω=178°Wとω=213°Wの二セットを提出だが、依然IR-RGB合成像で、意味がない。一番目の方はRGBが成功すれば、Rではゴルジ・ドルスムなどが出ているので良像が得られたと思うが、Gは駄目でRGBも難しいと思う。二番目の像はR等もマイルド仕上げだが、本人がIRに拘るのであれば、どうしようもない。Bは駒不足らしく軽視されている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160903/RSz03Sept16.jpg
4 September 2016 (λ=216°Ls~217°Ls, δ=10.3"~10.2")
PMx氏はω=322°Wでワンセット。これは重要な興味ある像で、Rから、ノアキス東部に黄塵が立っているのが判る。これはマレ・セルペンティスあたりの黄塵と連携しているかもしれない。MRO-MARCIの4
Septemberの圖をみると、ノアキス東部の黄塵は可成り規模があり、赤道方向に流れているのが判る。また、後方には共鳴黄塵を従えている。更に北東方面には水蒸氣の凝結がみられる。PMx圖のヤオニス・フレトゥム南部の濃化は未だ見える。これはIR像でも確認出來る。合成像は淡く処理したのは正解であろう。尚、南極冠も好く見え、北極域の雲もでている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160904/PMx04Sept16.jpg
RSz氏はω=197°WでIR-RGB像。B像が好く、北極域の白雲はIR-RGB像でも少し青白く出ている。しかし、何れも縁處理が拙い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160904/RSz04Sept16.jpg
5 September 2016 (λ=217°Ls, δ=10.2")
Mike
HOOD (MHd)氏がω=287°W で赤外光の像を得た。 20cm屈折とASI
290MM使用。Seeing2~3/10の様だが模様はマイルドに出ている。ただ、ノアキスの方には至っていない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160905/MHd05Sept16.jpg
PMx氏はω=310°Wで ワンセット。Seeingは6/10の由。ヤオニス・フレトゥムの南部の暗點は健在で、その北がノアキスに向けて黄塵のボケがあるようだ。MRO-MARCIの5
Septemberの圖でも黄塵は少し高く昇ったのか、柔らかくなっている(高く昇るとヘッラスの方に流れることもある)。なお、この日にはエドム/シヌス・メリディアニの南方に南北に延びる黄塵の擾亂が見えるのだが、殘念ながらPMx氏の時間では未だ回転してきていない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160905/PMx05Sept16.jpg
6 September 2016 (λ=217°Ls~218°Ls, δ=10.2"~10.1",
φ=05°N)
PMx氏は続けてω=302°Wで追求。南極冠は白く明るい。ヤオニス・フレトゥム南部の暗部に接してヘッラス内部の西壁に沿って明るく見えるが、晴れているのかもしれない。Rで見る限りヤオニス・フレトゥムは細く殘っていて、マレ・セルペンティスの方の黄塵が擾亂を起こしている模様。MRO-MARCIの5
Septemberの圖ではエドム/シヌス・メリディアニの南方の黄塵の帶が健在である。PMx圖ではシュルティス・ミノルなどは明確。 ウトピアはRだけでなくGでも濃い(Bでも見えるか)
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160906/PMx06Sept16.jpg
Clyde
FOSTER (CFs)氏がω=133°W、φ=05°NでL-colour
(290MC使用)像を得る。殆ど明細はないが、舊タルシスはV字型で明るく(左辺はオピル)、タルシス三山は確認出來る。オリュムプス・モンスもIRで明確だが、L-colourでも見える。南極冠は明るく、北極域の雲も弱いが見える。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160906/CFs06Sept16.jpg
7 September 2016 (λ=218°Ls~219°Ls, δ=10.1"~10.0")
Gary
WALKER (GWk)氏がω=271°Wで、25cm
Refrと174MMでRGB合成像を得る。Seeingは3~4/10で、マレ・キムメリウムがシュルティス・ミノルと離れているのが見えるが、ヘッラスは白く全体暈けている。Rで見ると南極冠とヘッラスは分離している。北極域の雲も詳細が無い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160907/GWk07Sept16.jpg
Bill
FLANAGAN (WFl)氏はω=284°WでRGB 合成像。南極冠がBで綺麗に捉えられる。一方、北極域雲は茫洋としている。ノドゥス・アルキオニウスは靄の中で明確。ヘッラスは明部が少なく境界も明確ではなく、Rでヘッラスの東岸と思われる邊りから直線状にシュルティス・ミノルの方向に明るさが走る。アウソニアは赤っぽい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160907/WFl07Sept16.jpg
MHd氏がω=285°WでRGB合成像。Seeingは2~3/10で、矢張り南極冠とヘッラスは全体が暈けた像。白味が勝っている。マレ・キムメリウムの西端部とシュルティス・ミノルは分離しているし、ヘッラス内部も構造があるようだが、朝方のシュルティス・マイヨルの形は暈けている。北極域の雲も輪郭が出ない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160907/MHd07Sept16.jpg
CFs氏がω=124°WでL-colour像。L像に依るのかIR像に似た詳細が出ている。フォルトゥナFortunaのドーナツ環が明瞭で、ポエニクス・ラクスやタルシス三山が窺える。オリュムプス・モンスも褐色系で濃い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160907/CFs07Sept16.jpg
EMr氏は23:49GMT(ω=246°W)と00:32GMT(ω=257°W)で二個のRGB合成像を得た。両方ともR像ではマレ・キムメリウムやエリュシウムの詳細が出ているが、RGB合成像では目立たない。南極冠もRでは際立ってはいない。ヘッラスは朝で白く、ω=246°Wではアウソニアが少し赤っぽい。北極域の白霧は強くないが廣く北半球を覆っている感じ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160907/EMr07Sept16.jpg
8 September 2016 (λ=219°Ls, δ=10.0")
WFl氏はω=274°WでRGB 合成像を得た。Rではマレ・テュッレヌムから夕端のマレ・キムメリウムまでの詳細が可成り出ているが、RGB像はマイルドに全体に靄が懸かったみたい。ヘッラスの内部はRでは少し複雜で、ヘッラスの境界も柔らかいが、マレ・ハドリアクムを挾んでアウソニアの赤っぽさは窺える。シュルティス・マイヨルも未だ朝方だが、形が綺麗に出ている。南極冠は見え、北極域の白霧は薄く擴がる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160908/WFl08Sept16.jpg
MHd氏がω=278°W で赤外光(685-700nm)の像を得た。ヘッラス域は南極方面も含めてぼやけている。へスペエリアの切れ目は見える。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160908/MHd08Sept16.jpg
CFs氏がω=112°WでL-colour像。ガンゲスが見えてきたが、褐色は出ていない。タルシス三山とオリュムプス・モンスは IR像と同じく明確。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160908/CFs08Sept16.jpg
Frank
MELILLO (FMl)氏がω=232°W、φ=04°N(23:29GMT)でTou-cam
colour像、ω=227°WでIR610nm像を得た。マレ・キムメリウムは描冩されているがエリュシウムはギリギリ。南極冠も北極域雲も明白ではない。δ=10"キリキリである。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160908/FMl08Sept16.jpg
9 September 2016 (λ=219°Ls~220°Ls, δ=10.0"~9.9",
φ=04°N)
GWk氏がω=251°WでRGB合成像。p←の指示が初めて出る。但し、南極冠は巧く描冩されない。北極域の雲の存在は出ている。マレ・キムメリウムとマレ・テュッレヌムの位置は判る。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160909/GWk09Sept16.jpg
MHd氏はω=251°WでRGB合成像。Seeingは1~2/10で、南極冠は埋没。マレ・キムメリウムの存在は判る。北極域の白霧も確か。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160909/MHd09Sept16.jpg
PMx氏はω=272°Wで ワンセットを得る。R,
G, IR685で南極冠は確認できる。Seeing=7/10。IR685で南極冠のダークフリンジを越えたヘッラスの南東隅と思われる処に明るい斑点が見えている。RGB合成像では白味を帯びた明点である。しかし、MRO-MARCI像では何故か確認出来ない。ヘッラスは平凡だが、IR像では内部構造が見える。アウソニアは赤っぽい。シュルティス・ミノルとマレ・キムメリウムの西北部は濃い。ウトピアを北極域雲が侵している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160909/PMx09Sept16.jpg
Teruaki
KUMAMORI (Km)氏はω=027°WでL-colour像。カメラは多用で、Colour像は224MC、LやB像は290MM。Seeingは2~3/10で、全体暈けているがナチュラルである。南極冠も区別されておぼろに見えるし、北極域の雲も出ている。後者の南西にマレ・アキダリウムの全貌が窺える。赤道帯ではシヌス・サバエウス/シヌス・メリディアニが見え、マルガリティフェル・シヌスの北端も区別される。その北西には砂埃が揚がっている。ノアキスの南も濃淡があり、アルギュレ邊りが稍明るい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160909/Km09Sept16.jpg
Yukio
MORITA (Mo)氏がω=047°Wで
LRGBとRGB像を合成。L像は朝方にゴーストがあり不適。RGB像の方が好いようだ。シヌス・メリディアニが沈むところでマルガリティフェル・シヌスとアウロラエ・シヌスが出ている。マレ・アキダリウムは淡い。南極冠も明確ではない。Mo氏によると、アルギュレは明るく黄雲が立っているようで、ノアキス側の黄雲が届いたのではないかとお考えの様である。アルギュレはMRO-MARCI図でも大概輪郭がはっきりしているので、アルギュレの日毎の動向を調べてみると面白いかもしれない。北極域の雲もより極近くに集中し、その直ぐ南西には、Rでは 濃い模様がある。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160909/Mo09Sept16.jpg
CFs氏がヨハネスブルグ天文台の15cm Franklin Adams 屈折をつかってω=126°WでL-colour像。ソリス・ラクスが夕端で濃い。タルシス三山とオリュムプス・モンスは餘り明確ではない。アルシア・モンスはポエニキス・ラクスとくっついて見える。北極域の雲は小振りだが見える。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160909/CFs09Sept16.jpg
10 September 2016 (λ=220°Ls~221°Ls, δ=9.9"~9.8")
Reiichi
KONNAÏ (Kn)氏は ω=358°W(火星は薄明に捉えられている)でL-colour像。Seeingは0~1/10の状態で透明度も悪いようだ。上の日本の三人は毎日待機しているが、火星を捉えられる機会は一週間に一度も無い状態で我が国の気象条件の悪さを示している。既にδも10"を割って苦しいようである。Kn氏のこの像はシヌス・サバエウスの濃さと砂漠の赤さ(一部明るいところがある)を示しているだけと言っても好い。マレ・セルペンティスの尻尾は濃く見えているようだ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160910/Kn10Sept16.jpg
Masami
MURAKAMI (Mk)はこの日、雲間に火星が見られたので、320×20cm
specで眼視観測を行ってみた。ω=006°Wとω=015°Wに機会があった。δは10"を割っているものの、Seeingは3~4/5と判定され、意外と安定して見えた。但し、前者では南極冠は捉えられず、南半球は大きくクリーム色を呈して見えた。南極冠は後者では輝きを捉えたが、境界を捉えるには至っていない。シヌス・サバエウスとシヌス・メリディアニは可成り濃く見える。北極域の白雲も見え、少し青味を感じた。後者ではマルガリティフェル・シヌスからマレ・アキダリウムに掛けての蔭が朝方に捉えられたが、空には雲の動きもあり、火星は低くなっていった。
EMr氏がω=219°W
(23:58GMT)でRGB 合成像。縁取りが人工臭い。南極冠が一応確認され、北極域の白雲も綺麗。模様はマレ・キムメリウムが横たわるのみ。Seeingが悪いのだと思う。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160910/EMr10Sept16.jpg
11 September 2016 (λ=221°Ls, δ=9.8")
GWk氏がω=227°WでRGB合成像。p←表示があるが、南極冠の中央が決められない(Seeing:
3~4/10)。マレ・キムメリウムとエリュシウムの存在はわかる。北極域の雲は綺麗。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160911/GWk11Sept16.jpg
Og氏はω=002°Wで290MC像。stack枚数が整わないのか、粗い像である。但し、シヌス・メリディアニとマルガリティフェル・シヌスの北部は綺麗に切れ、夕方のシヌス・サバエウスの尻尾、マレ・セルペンティスは太く顕れている。シュルティス・マイヨルも夕際に見えている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160911/Og11Sept16.jpg
CFs氏がω=083°WでL-colour像。南極冠が可成り明快。暗帯はやや淡い方。アルギュレが夕方で明るい。ソリス・ラクスの周りは杳い(タウマジアはIR像のそれほど切れていない)。チトニウス・ラクス邊りは見えている方。アウロラエ・シヌスの人型がやや明確。ガンゲスの褐色は弱い。フォルトゥナの環は見えている。アスクラエウス・モンスが朝方に濃い。ニロケラスのニッパーはみえている。マレ・アキダリウムは既に弱い。北極域の雲は弱い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160911/CFs11Sept16.jpg
EMr氏がω=196°WでRGB合成像。南極冠の明るさがやや出ている。マレ・シレヌムの一部とマレ・キムメリウムが横たわる。北極域の雲はグラデーションを持っている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160911/EMr11Sept16.jpg
12 September 2016 (λ=221°Ls~222°Ls, δ=9.8"~9.7", φ=03°N)
CFs氏がω=074°WでL-colour像。前回の画像より数段優れているが、色は相変わらず悪い。南極冠、そのフリンジ、逆三角形のアルギュレは明確。アウロラエ・シヌスの人型もハッキリし、これとガンゲス、ニロケラスの關係も好く見える。マレ・アキダリウムは淡く、横断する白雲も見えるが弱い。朝縁近くにアスクラエウス・モンスが濃い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160912/CFs12Sept16.jpg
EMr氏がω=193°WでRGB合成像。南極冠の片鱗は見える。マレ・シレヌムとマレ・キムメリウムの暗帯は判るが、エリュシウムなどは明確ではない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160912/EMr12Sept16.jpg
FMl氏がω=197°WでTou-cam
colour像、ω=188°WでIR610nm像。カラー像でも南極冠の輪郭は出ない。カラーでは北極域の雲は描冩されている。マレ・シレヌムが可成り入ってきているのは判る。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160912/FMl12Sept16.jpg
13 September 2016 (λ=222°Ls, δ=9.7")
CFs氏がω=062°WでL-colour像。アルギュレは可成り中に入って明白。シヌス・メリディアニが夕端に近い。オキシア・パルスの西隣は地肌が明るいのだと思うが、その北のニリアクス・ラクスには小黄塵が二本立っている様子。ニロケラスのハサミは明確だが、マレ・アキダリウムの中腹には東西に亙る雲の帶がある。アウロラエ・シヌスの人型は明確。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160913/CFs13Sept16.jpg
14 September 2016 (λ=222°Ls~223°Ls, δ=9.7"~9.6")
CFs氏がω=054°WでL-colour像。前日と同じ状況だが、ニリアクス・ラクスの黄塵は一本になった。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160914/CFs14Sept16.jpg
15 September 2016 (λ=223°Ls~224°Ls, δ=9.6")
CFs氏はω=042°WでL-colour像。シヌス・メリディアニが可成り内側へ入り、二本爪が明確、またブランガエナも見える。逆三角形のアルギュレは見かけ上の中央にやってきた。ニリアクス・ラクスの黄塵は逸散した。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160915/CFs15Sept16.jpg
16 September 2016 (λ=224°Ls, δ=9.6"~9.5")
FMl氏がω=149°WでTou-cam
colour像。少し南極冠の一部が描冩されているか。マレ・シレヌムが濃い部分。北極域の雲は出ているが不明確。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160916/FMl16Sept16.jpg
EMr氏がω=159°WでRGB合成像。南極冠の白さが出ている。マレ・シレヌムが濃い。 北半球北部は白い靄に覆われている。砂漠には幾つか斑點が見える。前後関係が難しいが、夕縁近くにはポエニキス・ラクスとアルシア・モンスの組、その後方にはオリュムプス・モンスがあると思われる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160916/EMr16Sept16.jpg
17 September 2016 (λ=224°Ls~225°Ls, δ=9.5", φ=02°N)
EMr氏がω=142°WでRGB合成像。前日の像よりキーとなる模様が見えて來ている。先ず、アルシア・モンスがポエニキス・ラクスと並んで見え、パウォニス・モンスが淡く、アスクラエウス・モンスが確認出來る。オリュムプス・モンスは褐色で際立つ。南極冠の白さは垣間見え、マレ・シレヌムの北側が稍赤っぽい。北極域の雲は可成り局在化している(北極は見えない)。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160917/EMr17Sept16.jpg
19 September 2016 (λ=226°Ls, δ=9.4"~9.3")
Charles
TRIANA (CTr)氏(コロンビア)は25cmSCT使用、ω=152°W、φ=02°N の角度でLRGB合成像とその要素を示した。他に
IR807像。EMr氏の16Sept at ω=159°Wに比肩するとは言えないまでも大要は同じである。タルシス三山とオリュムプス・モンスが夕縁に続くと思われる。南極冠の白さは出ている。北極域の雲の分布もあると思う。(像をもう少し大きくすることが望ましい。)
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160919/CTr19Sept16.jpg
CFs氏がω=006°W、φ=01°NでL-colour像。この像は次の點で重要である:明らかにマレ・セルペンティスが太くなっている。これは10 Sept ω=358°WでのKn氏や11 Sept ω=002°WでのOg氏の像のやや擴大版になっている。この現象はマレ・セルペンティスの尻尾の邊りの砂塵が取り払われた現象で、2003年に觀測された現象とよく似ている。殘念ながらMRO-MARCIの画像では既に8
Septには明確なので、今回はCMOでは観測資料が殆ど無いと言える。この濃化は2003年の場合を見ると可成り長引くようである。丁寧な観測を諸君に期待する。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160919/CFs19Sept16.jpg
20 September 2016 (λ=226°Ls~227°Ls, δ=9.3", φ=01°N)
CFs氏がω=358°W、φ=01°NでL-colour像。更に中に入ってマレ・セルペンティスの尻尾の幅擴大は續く。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160920/CFs20Sept16.jpg
21 September 2016 (λ=227°Ls, δ=9.3"~9.2")
CFs氏がω=344°WでL-colour像。ヘッラスが可成り見えてきたが、内部は肌色で、ヤオニス・フレトゥムとの境界は明確。南極冠もはっきりしているが、色が悪い。北極域の雲の描冩もコントラストが好くない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160921/CFs21Sept16.jpg
22 September 2016 (λ=227°Ls~228°Ls, δ=9.2", φ=01°N~00°N)
CFs氏がω=335°W、φ=01°NでL-colour像。ヘッラスは更に入り、西壁近くが肌色で明るい。ヤオニス・フレトゥムの南部の濃化は見られなくなっている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160922/CFs22Sept16.jpg
FMl氏がω=090°W、φ=00°NでTou-cam
colour像。南極冠は瞥見。ソリス・ラクスのあたりは濃い。アスクラエウス・モンスが朝方に出ているか? ガンゲスが褐色でルナエ・ラクスまで延びている様子。Seeing 6/10。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160922/FMl22Sept16.jpg
23 September 2016 (λ=228°Ls~229°Ls, δ=9.2"~9.1", φ=00°N)
Og氏がω=250°Wで290MC像。南極冠が描冩されない。アウソニアは赤味か。マレ・キムメリウムが詳細はないが濃い。エリュシウムの存在は判る程度だが、アエテリア暗斑は濃い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160923/Og23Sept16.jpg
CFs氏がω=325°WでL-colour像。ヘッラスから拡大したマレ・セルペンティスまで安定した感じで、ヤオニス・フレトゥムも正常に戻る。北極域の雲は明白ではないが、層をなしているか。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160923/CFs23Sept16.jpg
EMr氏がω=092°WでRGB合成像。暗色模様は見え、オピルなどは明るいが、全体暈けている。マレ・アキダリウム北部から北極域は白靄に覆われている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160923/EMr23Sept16.jpg
24 September 2016 (λ=229°Ls, δ=9.1", φ=00°S)
CFs氏がω=315°WでL-colour像。ヘッラス内部はベージュ色。IR像では内部構造? 西壁がクッキリ。マレ・セルペンティスの擴大は續く。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160924/CFs24Sept16.jpg
FMl氏がω=064°W、φ=00°SでTou-cam
colour像。南極冠の白は綺麗。しかし形は出ない。南半球は暗色模様で杳い。マレ・アキダリウムも暗く出ているようだが形は出ない。北極域は靄がある。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160924/FMl24Sept16.jpg
25 September 2016 (λ=229°Ls~230°Ls, δ=9.1"~9.0")
CFs氏がω=307°WでL-colour像。ヘッラスは内部構造を見せており、ヤオニス・レギオも太いマレ・セルペンティスの南に見えている。シュルティス・マイヨルの模様、ホイヘンス・クレーターなども確認出來る。南極冠とヘッラスの間に暗帯。北半球ではウトピアが殆ど陰に入り、雲の分布は定かでない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160925/CFs25Sept16.jpg
26 September 2016 (λ=230°Ls~231°Ls, δ=9.0", φ=01°S)
いよいよ南極點が円盤に入ってきた。CFs氏がω=299°WでL-colour像。ヘッラスはほぼマルッポ見えるが、東岸はクッキリしない。シュルティス・ミノルが好く見える。ノドゥス・アルキュオニウスが見えるが、ウトピアの濃淡は明確ではない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160926/CFs26Sept16.jpg
27 September 2016 (λ=231°Ls, δ=9.0"~8.9")
CFs氏がω=282°WでIR685像。南極冠は出ている。ヘッラス内の微細構造も窺える。ウトピアは暗く、雲の痕跡は冩っていない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160927/CFs27Sept16.jpg
FMl氏がω=038°WでIR610像。南極冠部と暗色模様が漠然と見える。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160927/FMl27Sept16.jpg
28 September 2016 (λ=231°Ls~232°Ls, δ=8.9")
CFs氏がω=276°WでL-colour像。全体が黄色っぽく南極冠の形も可笑しいが、付随するIR685像では南極冠は平べったい。ヘッラスも内部構造をみせる。アウソニアが明るい。マレ・キムメリウムの西部が濃い北極域際が杳い(ウトピア)
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160928/CFs28Sept16.jpg
EMr氏がω=023°WでRGB合成像。南極冠の形はキレがないが白く輝いている、シヌス・サバエウスが夕方に太く見えるがマレ・セルペンティスは十分に出てきていない。北極域の靄はうっすらと出ている。Rではノアキスの濃淡が見えている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160928/EMr28Sept16.jpg
29 September 2016 (λ=232°Ls, δ=8.9"~8.8", φ=02°S)
CFs氏がω=270°WでL-colour像。矢張り黄色めの火星像だが、マレ・キムメリウムとマレ・テュッレヌムからシュルティス・マイヨルへ暗色模様が擴がる。ヘッラスはコンパクトで黄色っぽいベージュ色か。対してアウソニアは赤っぽい。ウトピアには霧が出ている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160929/CFs29Sept16.jpg
♂・・・・・・ 追 加 報 告: 10月18日までに、下記の各氏から期間外の報告をいただいている。
ポール・マキソン (PMx) アリゾナ、アメリカ合衆国
8 Sets
of RGB + 8 IR Images
(22, 24, 26,~ 31 August 2016)
25cm Dall-Kirkham with an ASI290MM
ロバート・シュルツ (RSz) オーストリア
(IAS Observatory : ナミビア)
9 LRGB +
11 IR Image (25, ~ 31 August 2016)
51cm Richey-Chrétien
with an ASI290MM
デミアン・ピーチ (DPc) ウエストサセックス、英国 (バルバドス遠征)
1
Set of RGB Images (25
March 2016)
♂・・・・・・・ 追加報告のレビューは、観測シーズン終了後のReportでまとめることとします。
画像は以下のリンクからご覧ください。
PMx: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/index_PMx.html
RSz: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/index_RSz.html
DPc: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/index_DPc.html