CMO/ISMO 2016 観測レポート#13
2016年七月後半の火星観測 (λ=186°~196°Ls)
南 政 次・村上 昌己
CMO
#453 (
♂・・・・・・ 2016年七月後半の半月間の観測報告をまとめて今期十三回目のレポートとする。火星は順行となっていたが、この期間には、まだ「てんびん座」にあった。視赤緯D
は少し南に下がって22°S台に入っていて、今後さらに低くなる。視直径はδ=14.6"から13.1"と減少した。位相角ιは37°から41°と増えさらに朝方の欠けは大きくなっている。傾きはφ=15°Nから13°Nと少し南向きに戻って、南縁には南極冠の周辺部が捉えられている。季節はこの期間にλ=186°Lsからλ=196°Lsとうつり、南半球春分過ぎの黄雲発生の時期となっている。
七月下旬にはさらに詳細を捉えた画像が少なくなってしまった。火星面はまだ相当にエアボーンダストがあると思われ、周辺部はガスっていて、はっきり見えているのは正面の領域に限られる。南極域はまだ傾きが北向きで南極冠の周辺が南縁に見えている状態である。ヘッラスは黄色味を帯びた明るさで南極域との間には細い暗帯が写っている画像も見られた。アルギュレあたりは画像が少なく何も言えない。北半球高緯度の雲の活動は盛んで、マレ・アキダリウムの北からプロポンティスTの北側にかけて、ウトピアの北などに濃い部分が見られた。七月末には大きく拡がりお互いがつながって北極雲フードの様子となってきている。火星面は欠けと位相角が大きいため午後の火星面は小さく、真の夕方は捉えられなくなっている。高山の夕方の様子は捉えられず、山頂部が暗部として捉えられるだけである。エリュシウム・モンス域の詳細も捉えにくくなっている。
♂・・・・・・この期間には以下のように、15名の報告者から71件の報告があった。追加報告が2名26件含まれる。アメリカ大陸側からは今期初報告の方も含め報告は多かった。デミアン・ピーチ氏のバルバドスでの観測も含まれる。国内からは4名14観測、アメリカ大陸側から7名43観測、ヨーロッパからは1名1観測、オーストラリアから2名2観測、南アフリカから1名11観測の報告だった。
クライド・フォスター (CFs) センチュリオン、南アフリカ
11 Colour + 11 IR
Images (16,~19, 21, 24, 27, ~
ピーター・ゴルチンスキー (PGc) コネチカット、アメリカ合衆国
1
Set of RGB + 1 IR Images (
マイク・フッド (MHd) ジョージア、アメリカ合衆国
1
Set of RGB Images (
石橋 力 (Is) 相模原市、神奈川県
2 Colour Images (
近内 令一 (Kn) 石川町、福島県
1 Colour
Image (
工藤 英敏 (Kd) ケアンズ、オーストラリア
1 Colour Image (
熊森 照明 (Km) 堺市、大阪府
5 LRGB + 5 B
Images (18, 19, 27, 30,
36cm SCT @ f/38 with an ASI224MC & ASI290MM
マーチン・ルウィス (MLw) ハートフォードシャー、英国
1 Colour
Image (
フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ合衆国
5 Colour + 2
IR* Images (16, 20, 21,
25cm SCT with a ToUcam pro II, DMK21AU618.AS*
エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ
9 Sets of RGB
Images (18,
20, 22,~27,
大杉 忠夫 (Og) 小松市、石川県
6 Colour Images
(18, 19, 22, 28, 30,
ゲイリー・ウォーカー(GWk) ジョージア、アメリカ合衆国
1 Set of RGB Image (
アンソニー・ウエズレイ(AWs) ニューサウスウエールズ、オーストラリア
1 Colour Image (
♂・・・・・・ 今回も日付を追ってレビューする。
Frank MELILLO
(FMl)氏がω=045°Wとω=052°Wの像を与えた。両者ともシヌス・メリディアニが左端で窺える。マレ・アキダリウムの北、北極域に大きな白雲。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160716/FMl16July16.jpg
Peter GORCZYNSKI
(PGc)はω=063°Wでワンセット。まだシヌス・メリディアニは殘っている。マルガリティフェル・シヌスからアウロラエ・シヌスまではそこそこの描冩。チトニウス・ラクスは明るいオピルの後続として明確。ガンゲスとルナエ・ラクス附近は褐色。ニロケラスの詳細が見える。マレ・アキダリウムの北東に極雲が偏在。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160716/PGc16July16.jpg
Clyde
FOSTER (CFs)氏がω=296°W。シュルティス・マイヨルがど真ん中。ヘッラスはベージュ色で、底が見ると思うが一部に白霧含むか。ヘッラスの西縁にキッチリベージュ色の筋がみえるが、東北部からは何かが溢れ出ているようにも見える。像が何枚か欲しい。南極冠は細く白く明るい。北極域には朝方と夕方に淡い白雲(夕方のほうが濃い)。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160716/CFs16July16.jpg
CFs氏がω=292°W。 暗色模様は前日と殆ど変わらないが、シュルティス・ミノル面白く出ている。北極域の白霧の配置は矢張り違っている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160716/CFs16July16.jpg
Martin
LEWIS (MLw)氏はω=336°Wで。224MCだが44cmの余裕で穏やかで綺麗な像。今期マレ・セルペンティスは然程著しくない。南極冠は輝かないが、北極域の雲は穏やか。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160717/MLw17July16.jpg
Efrain
MORALES (EMr)氏はω=037°WでRGB合成像。Bで北極域の白霧の段重ねの分布が明白。RGBでマレ・アキダリウムとの關聯が判る。Rは可成りの詳細描冩でOdsも見える。夕端のシヌス・メリディアニなど格好がいい。RGB像は可成り杳いが、南半球での白霧の拡がりなどが捉えられている。オクスス邊りは褐色。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160718/EMr18July16.jpg
Tadao
OHSUGI (Og)氏はω=196°Wで290MC像。詳細は十分すぎるぐらい出ているが、コントラストが高すぎ、左際辺の明るさなど南極冠より明るく、おかしい。逆に北極雲域の白霧の描写が不足。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160718/Og18July16.jpg
Teruaki
KUMAMORI (Km)氏もω=196°Wで
L-colour像。シーイング3/10だが、余裕で南極冠近くの薄い白霧など描冩。北極域の白霧の構造もB像ともどもよく示している。ウトピアは霧の所爲で青味を帯びている。エリュシウムもナチュラルである。 夕端ではオリュムプス・モンスは既に幽かだが、その後方のゴルジ・ドルスム(Gordii
Dorsum)のパターンが明瞭に見える(Dorsumはridgeのこと)。ワルハラもこの程度の描写が好いと思う。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160718/Km18July16.jpg
CFs氏がω=253°WでL-colour像。前方の縁際は相当苦労しているのではないかと思うが、黄色が目立つのは何故か。エリュシウムは些し描冩不足か。ヘッラスがベージュ色で入って来ている。北極域の靄は相当大きくウトピアを占領している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160718/CFs18July16.jpg
Og氏は ω=171°W。然程ドギツクはなく、オリュムプス・モンスも その後方のパターンもこの程度だと思うが、やはり左端の明るさは異常で、調整が出來ていないと思う。相変わらず両極近傍の白色の発色がない。マレ・シレヌムは好く見えている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160719/Og19July16.jpg
Km氏がω=186°W。オリュムプス・モンスがより明確になった。朝方のエリュシウム内の明部もクッキリと描かれた。南極冠の北端に沿って暗帯があるようだ。マレ・シレヌムの西端部の描冩も前日より意味深である。南北両極近傍の靄の描写が綺麗。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160719/Km19July16.jpg
CFs氏はω=240°Wで撮像。エリュシウムは変わりない様子。 大きな北極域の白雲。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160719/CFs19July16.jpg
FMl氏はω=016°Wで觀測: 小さい像だが、オクススが見える。南極冠と北極域の雲が巧く出ている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160720/FMl20July16.jpg
EMr氏のω=028°WでのRGB合成像。RGBでは南半球の高緯度は白霧が覆っていて、朝方に及ぶ。オクススのあたりは褐色。シヌス・メリディアニからアウロラエ・シヌスまではRが良像で微細が出ている。マレ・アキダリウムの北部から北極域に及ぶ白雲は夕方まで綺麗に描冩されている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160720/EMr20July16.jpg
FMl氏がToucamでω=011°W、DMKでω=016°Wの長波長像。どちらにもアリュンの爪は出ている。シーイングは5/10の由。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160721/FMl21July16.jpg
CFs氏が ω=273°WでL-colour: アウソニアのピンク色の地に対してヘッラスは砂塵が立ったような鈍い色で北部の境界が不明。南極冠には暗帯が付随。北極域の白霧は相変わらず大きい。夕方際の黄色い輪郭の物理的要素は不明。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160721/CFs21July16.jpg
EMr氏がω=356°WでRGB合成像。R像が粗く、シヌス・サバエウスが中央に横たわるほか、特筆することはないが、北極域の白雲は綺麗に描冩されている。白色はその南の褐色の砂漠と対照的。南極冠は白く、その周りに白霧か。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160722/EMr22July16.jpg
Reiichi
KONNAÏ (Kn)氏のω=132°Wでの224MC一発画像。夕端にソリス・ラクスの塊やチトニウス・ラクス近傍が明確、ポエニキス・ラクスと並んでアルシア・モンスからアスクラエウス・モンスへの山脈が出ており、オリュムプス・モンスもドサクサの中にある。南極冠にも白さが無く、収差?が見える。北極域の雲の描冩には滑らかな白霧分布が欲しい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160722/Kn22July16.jpg
Og氏がω=157°W。些し北極域の白雲が捉えられるが、綺麗ではなく、砂漠の色も火星らしくない。コントラストは高すぎると思う。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160722/Og22July16.jpg
視直径は前々回2012年三月の最接近時のサイズに落ちた。
EMr氏はω=346°WでRGB合成像。南極冠は寧ろ乳白色。ヘッラスは夕縁に來て
off-whiteである。シュルティス・マイヨルは夕方だが、ホイヘンス・クレータが見える。シュルティス・マイヨル北部は濃紺色でシヌス・サバエウスも同じ。相変わらず大きな北極域の白霧は綺麗。B上で明白。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160723/EMr23July16.jpg
Gary
WALKER (GWk)氏はω=354°WでRGB合成像。南極冠の白色とヘッラスの色彩の差が出ないのが残念だが、北極域の白雲の層を成す活動の活写は美事で、先行するEMr氏像の雲は軟調すぎるかもしれない。最も北側のマレ・アキダリウムの北部を覆う雲の層は砂塵を含んでいるかもしれない。オクススが褐色という特徴。ネウドルス二重運河も見えるようだ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160723/GWk23July16.jpg
Anthony
WESLEY (AWs)氏はω=138°Wで綺麗な仕上がりの單像を提出。余裕があってオリュムプス・モンスの形などに無駄がない。タルシス三山も好く見え、ポエニキス・ラクスも好い斑點。チトニウス・ラクスは細かく出ている。この辺の描冩は見事である。南極冠も綺麗。北極域の白霧はスムーズに分布。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160723/AWs23July16.jpg
EMr氏が ω=335°WでRGB合成像。南極冠と夕端のヘッラスの色合いに差がある。朝方の北極域の白霧は滑らか。マレ・アキダリウムは未だ出ていない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160724/EMr24July16.jpg
CFs氏はω=230°Wで。エリュシウムやマレ・キムメリウムの描冩は可成り上質。黄色の夕際縁を除くと後はノーマルに見える。北極域雲はプロポンティスIの北でかたまっている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160724/CFs24July16.jpg
EMr氏がω=321°WでRGB 合成像を与えた。ヘッラスが可成り中に入って、盆地の形を見せている。砂漠色とは違い、Bでも明白なので、水蒸氣があると思われる。北極域の雲は朝方から大きく、夕方ウトピアで濃い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160725/EMr25July16.jpg
Mike
HOOD (MHd)氏の最初の投稿である。C14使用。この像はω=322°Wで撮られ、ASI
290MMに據るRGB合成像である。前日のEMr氏像と同じ角度で、優劣は付けがたいが、ヘッラスの描冩とホイヘンス・クレータの描冩などに違いが見られる。 北極域の雲の描冩も好いが、南極冠は曖昧である。シーイングは5/10の由。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160726/MHd26July16.jpg
EMr氏はこの日ω=324°Wで撮っている。ヘッラスはクッキリしているが、夕縁際に黄色が強いのは宜しくないのでは。南極冠のところは白い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160726/EMr26July16.jpg
EMr氏がω=305°Wで撮像、夕縁際の黄色みは薄れてreasonableである。シュルティス・マイヨルは可成り中に入り、ヘッラスも全容を見せていると思う。些し水蒸氣の霧が覆っている(B參照)。ヤオニス・フレトゥムとヘッレスポントゥスの間は赤味があり、これはホイヘンス・クレータの内部の色にも近い。北極域の白雲は北半球の夕縁まで及んでいる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160727/EMr27July16.jpg
FMl氏がω=321°Wでcolour-cam像、ω=317°Wで720nm像を撮った。ヘッラス盆地の輪郭はIR像でより明確。colour-camの像では北極域の白雲が好く描冩されている。シヌス・メリディアニは欠け際より中に入ったみたい。砂漠の色が宜しいなぁ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160727/FMl27July16.jpg
Km氏がω=109°WでL-colour像、ω=114°WでB像。Colour像は良像で、夕縁近くのアウロラエ・シヌスからチトニウス・ラクスに掛けての詳細が鮮明。ソリス・ラクスも好く見えている。北半球ではニロケラスの双葉型が綺麗で、ガンゲスが褐色。ポエニクス・ラクスも濃く、アルシア・モンスの複雑さも好く出ている。他のタルシス・モンテスも明確で、アスクラエウス・モンスに先行するフォルトゥナのリングも明瞭。オリュムプス・モンスの暗點が大きい。南極冠も白く明るいが、B像では明部は幅が広いので、水蒸氣がはみ出しているのであろう。その為に南極冠の暗帯が青色系に見えるのだと思う。北極域の雲はB像で擴がって見える。
ところで、11 July 2016 (λ=184°Ls)にEMr氏がω=109°Wの像を撮っていて、比較することが出来るが,随分とこのKm氏のλ=193°Lsの像と印象が違う。一つにはEMr氏はヘーズを写し込んでおり、現在それが晴れて来ているいるともいえるのであるが、Km氏の手法では微細先行のためにヘーズや霧が弱く描冩されているという可能性もある。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160727/Km27July16.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160711/EMr11July16.jpg
CFs氏がω=176°WでL-colour像。夕縁際の處理は十分ではないが、アルシア・モンスは雲を被っている様子。オリュムプス・モンスは見分けが難しいが、IR685像では暗部が細長く見える。北極域の雲は靄状で プロポンティスIの北まで擴がっているが、雲層の厚い部分は夕方にある。マレ・シレヌムはIR685で暗示的。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160727/CFs27July16.jpg
Og氏がω=094°Wで 單画像。ニロケラスが好くみえる。但しソリス・ラクスのキレがわるいし、南極冠も不明。タルシス三山は明確。特にアスクラエウス・モンスが濃い。 北極域の雲は好く描冩されている方だと思う。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160728/Og28July16.jpg
CFs氏がω=164°WでL-colour像。アスクラエウス・モンスの前方が可成り白い。アルシア・モンスの雲も少し見えるみたい。アルシア・モンスの地方時は正午を些し過ぎた邊りである(λ=195°Ls邊りではアスクラエウス・モンスの山岳雲は殆ど出ないが、高緯度のアルシア・モンスでは最盛期を過ぎたものの、未だ出現する)。オリュムプス・モンスの暗點はIR685像で明確。北極域の靄は可成り擴がっている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160728/CFs28July16.jpg
EMr氏がω=289°WでRGB合成像を拵えた。ヘッラスは軽く靄ってCM附近に全容が見える。Rでは模様が見えるようだ。南極冠とは離れている。アウソニアが赤っぽい。北極域の靄は全体淡くてウトピア北部を隠している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160729/EMr29July16.jpg
Tsutomu
ISHIBASHI (Is)氏はω=078°Wとω=088°WでそれぞれVideo-cam像で400から900像をスタック。両者とも南極冠は窺えるが鮮明ではない。南極冠縁はっぽいか。ソリス・ラクスは位置が判る。マレ・アキダリウムとニロケラスも窺える。北極域の白色はくっきりしない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160729/Is29July16.jpg
CFs氏はω=179°WでL-colour像とIR685像。オリュムプス・モンスは不鮮明だが、ゴルジ・ドルスムの周邊は明瞭に出ている。北極域の靄は然程濃くはなく、プロポンティスIの北にまで張り出しているようだ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160729/CFs29July16.jpg
Hidetoshi
KUDO (Kd)氏はケアンズでの観測でω=042°Wの像。像は小さいが、シヌス・メリディアニからアガトダエモンまで可成り細かく出ている。マレ・アキダリウムとニロケラスはそっくり出ている。マレ・アキダリウムの北には北極域の大きな白雲。南極冠も明るく綺麗。(餘り明解ではないが、北極域の雲には亀裂があるような気配だし、マルガリティフェル・シヌスの直ぐ西に霧状の筋が出ていて更に南の霧筋と連結しているのではないかという感じがある、ことを付け加える。来期には像を少し大きくすることを期待する。)
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160730/Kd30July16.jpg
Og氏はω=070°W。290MC-colour像は、骨格写真の趣で、肉が薄いというか、階調に乏しく、先ず色彩変化が低調である。ガンゲスも他に比べて褐色系とすら言えない。成功しているのは、フォルトゥナの環状で、濃いアスクラエウス・モンスに先行する。マレ・アキダリウムの北の雲も白雲らしくない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160730/Og30July16.jpg
Km氏がω=074°WでL-colour像。タウマジアは切れないが、ソリス・ラクスの内部が可成り見えている。ガンゲスからニロケラスは褐色系で、イウエンタエ・フォンス も濃褐色である。タルシス三山は明確。マレ・アキダリウムの北部から北極域の靄が懸かっているが、その為マレ・アキダリウムの北は青色系を呈す。南極冠の北側も暗示的である。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160730/Km30July16.jpg
CFs氏はω=138°WでL-colour像。 タルシス三山は明確で、オリュムプス・モンスの暗點はCM近いが鮮明ではない。ゴルジ・ドルスムのほうが顕著。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160730/CFs30July16.jpg
Og氏がω=055°Wの像。非常にシーイングが悪いのだと思う。夕縁際の光量を落とさないと物理的背景に區別が着かないし、シヌス・メリディアニも形を成さない 。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160731/Og31July16.jpg
Km氏はω=066°WでL-colour像。シーイングが2〜3/10と悪いらしいが、それ相応のボケかたをさせている。色合いもガンゲスとニロケラスの褐色は表現されているし、北極域の靄がマレ・アキダリウムの北部に青色系の表情をさせている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160731/Km31July16.jpg
CFs氏はω=128°WでL-colour像。アルシア・モンスの形状が面白く出ている(正常)。アスクラエウス・モンスと先行するフォルトゥナの環状明部は好く出ている。オリュムプス・モンスの暗點が前回と違い意外と濃い。北極域の靄が下を透かせて二段構えのように見える。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160731/CFs31July16.jpg
♂・・・・・・ 追 加 報 告 8月15日までに、下記の各氏から期間外の新しい報告をいただいている。
ポール・マキソン (PMx) アリゾナ、アメリカ合衆国
15 Sets of RGB + 15 IR Images (13,~ 20, 23, 25, 26, 28 June; 3,~
25cm Dall-Kirkham with an ASI290MM
デミアン・ピーチ (DPc) ウエストサセックス、英国 (バルバドス)
11 RGB Colour + 3 B Images (9, 10, 11,
♂・・・・・・・ 追加報告のレビューは、観測シーズン終了後のReportでまとめる。
画像は以下のリンクからご覧いただきたい。
PMx: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/index_PMx.html
DPc: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/index_DPc.html