CMO/ISMO 2016 観測レポート#04
2016年一月後半と二月前半の火星観測 (λ=096°~110°Ls)
南 政 次・村上 昌己
CMO
#444 (
♂・・・・・・ 観測レポートの四回目は2016年1月後半と2月前半の観測報告をまとめる。この期間に火星は「おとめ座」から「てんびん座」へ進み、さらに視赤緯D は12°Sから17°Sまで下がった。視直径はδ=6.1"から7.7"と大きくなり、デジタル画像では解像度が上がってきた。季節はこの期間にλ=096°Lsから110°Lsに進み、北半球の夏の盛りになった。中央緯度はφ=17°Nから12°Nとだいぶ正面に戻っているが残留北極冠や融け残ったオリュムピアはまだ認められている。位相角はι=36°~37°となり、期間末に最大のι=37.2°に達して、以後は欠けが小さくなって行く。
♂・・・・・・ この期間には以下のように、8名の報告者から26件の報告を拝受した。南半球からの報告が多く寄せられている。国内からは1名3観測、アメリカ大陸側から3名7観測、オーストラリアから3名6観測、南アフリカから1名10観測だった。12月と1月の追加報告2件が含まれる。
スティーファン・ブダ (SBd) メルボルン、オーストラリア
1 Set of RGB Images (4 February
2016) 41cm Dall-Kirkham with an
ASI120MM
デニス・フェル (DFl) ケネディ、サスカチュワン、カナダ
1 Colour
Drawing (31 January 2016) 15cm
Maksutov-Cassegrain , 120×, 240×
クライド・フォスター (CFs) センチュリオン、南アフリカ
10 Colour
+ 10 IR Images (27, 28, 30,
31 January; 2, 7, 8, 11, 12, 15 February 2016)
36cm SCT @f/22, 33 with an ASI224MC
マーク・ジャスティス (MJs) メルボルン、オーストラリア
4 Sets of RGB Images (16 January; 12 February 2016) 30cm Spec with a DMK21AU618
エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ
4 Sets of RGB
Images (23, 29 January; 4, 9 February 2016) 31cm SCT with a Flea 3
森田 行雄 (Mo) 廿日市、広島県
3 Sets of LRGB Images (10 February 2016) 36cm SCT with a Flea 3
モーリス・ヴァリムベルティ(MVl) メルボルン、オーストラリア
1 Set of RGB + 1 IR
Images (5 February 2016) 36cm SCT @f/20
with an ASI120MM
♂・・・・・・ 追加報告
デニス・フェル (DFl) ケネディ、サスカチュワン、カナダ
1 Colour
Drawing (3 January 2016) 15cm Maksutov-Cassegrain , 120×, 240×
チャールズ・トリアーナ (CTr) ボゴタ、コロンビア
1 Colour Image (27 December
2015) 25cm
SCT @f/27 with an ASI120MM
♂・・・・・・ 今回も日を追って觀測順に紹介する。
16 January 2016 (λ=096°Ls, δ=6.1")
Mark JUSTICE (MJs)氏がω=192°W、φ=18°Nで一組のR、G、B像を撮った。夕端にオリュムプス・モンスの雲が目を惹く。エリュシウムも明るく、R、G、B共に明るく見えるがRGB合成像では地味である。RではプロポンティスTやアエテリアが好く判る。マレ・キムメリウムは上方で濃いが形状はよく判らない。北のウトピアはマレ・キムメリウムに比べて淡い。北極冠部は明るいが形状は明確ではない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160116/MJs16Jan16.jpg
23 January 2016 (λ=099°Ls,
δ=6.4"~6.5")
Efrain MORALES (EMr)氏がω=352°W、φ=16°Nで一組のR、G、B像を撮った。Rではシヌス・サバエウスが濃く太く夕端に迫ってあり、CMに近いシヌス・メリディアニが二つ爪に分かれん許りである。アラムは切れ上がってデウカリオニス・レギオに続いており、マルガリティフェル・シヌスも濃い。クリュセの南部には暗部が垂れ下がっている。オクシア・パルスも明確ではないが濃いらしい。オクススも見えているようだ。その西にはマレ・アキダリウムが大きく朝方の西北部が濃い形で見えている。イアクサルテスが北極冠の方に出ている。G、Bではアエリアから西方に霧が流れるように冩っており、これはRGB像で見えており、マレ・アキダリウムの南部も幾らか白く、朝霧に繋がっている。北極冠はRで顕著。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160123/EMr23Jan16.jpg
27 January 2016 (λ=101°Ls, δ=6.6")
Clyde FOSTER (CFs)氏がω=202°W、φ=16°Nで一組のASI1240MCに依るColour像とIR685像を撮った。L-Colour像はBaaderのLフィルターを使っている。R、G、B像も提示されるが、これは分解像であろう。一応この像は模様が淡目に感じの好い像である。マレ・キムメリウムはマレ・テュッレヌムとヘスペリアを挾んで並んでいるが、マレ・キムメリウムの西部は濃く、北部の縁のギザギザは出ている。エリュシウムは円味の淡い明部を示しアエテリアの暗斑とプレグラに囲まれている。プロポンティスTも暗斑。ウトピアはR分解でも淡い方。その朝方はゴースト臭い。北極冠は核を持つがIR像の所為か暈けが出ている。北極冠の南側にはリマ・ボレアリスはほとんど出ていないが、オリュムピアが淡く見えている。暗色模様はIR685でどぎつくなくマイルドに揃っていて好い感じ。L-Colourではオリュムプス・モンスの沈んだ後の淡い霧と朝方の霧が白く出ている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160127/CFs27Jan16.jpg
28 January 2016 (λ=101°Ls~102°Ls,
δ=6.6"~6.7")
CFs氏は ω=213°Wで前回と同じに撮った。L-Colourで中央にエリュシウムが円く明るい。Bでも顕著であるから白雲が占めていると思われるが、分解像なら断言は出來ない。マレ・キムメリウムの描冩は前回より詳しい。ウトピアのゴーストもうまく処理している風に見える。シュルティス・マイヨルが朝縁に緑の姿を暗示しているようだ。プロポンティスT、アエテリアの暗斑、ノドゥス・アルキュニウスも濃くならない程度に描冩されている。北極冠はより明確になった。相変わらずIR像はがっちりしている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160128/CFs28Jan16.jpg
29 January 2016 (λ=102°Ls, δ=6.7")
EMr氏がω=286°W、φ=15°Nで 三色分解で撮り、合成像を作った。シュルティス・マイヨルがど真ん中で、Rではシヌス・サバエウスが淡く見えている。ヘッラスはG、Bで明るくRでは顕著には見えないので白雲が南極冠域まで擴がっていると思われる。北極冠も形が明確ではない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160129/EMr29Jan16.jpg
30 January 2016 (λ=102°Ls,
δ=6.7"~6.8")
CFs氏がω=184°W、φ=15°Nで、L-Colour像を作った。構図は16 JanuaryのMJs氏の像と似ているが、オリュムプス・モンスは10°程此方の方が中に入っていて、白い盛り上がりが見える。エリュシウムの明るい部分でも核はアエテリア暗斑に近く描冩されている。また、プレグラの邊りも薄暗く太い様子が出ている。Rではトリウィム・カロンティスが強く内部に張り出したように見える。 ウトピア内部に濃い圓形斑點が幾つか見える。これはIR像よりR分解像の方が魅惑的。北極冠はやや小さく見え、その南にあるはずのオリュムピアが惚けて白霧の吹き出しの様な印象を与える。尚、北極冠南側の小暗部はリマ・ボレアリスであろう。この構図ではマレ・テュッレヌムが見えない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160130/CFs30Jan16.jpg
31 January 2016 (λ=102°Ls~103°Ls, δ=6.8")
CFs氏はω=175°W から狙った。オリュムプス・モンスの白雲が完全に内部に入り綺麗である。南ではマレ・キムメリウムが著しいが、その東方にはマレ・シレヌム邊りが暗部を作っている。エリュシウムは朝方だが、朝霧が内部にあるらしい。プレグラが矢鱈太い。アエテリアの暗斑は濃くシャープ。面白いのはウトピアの東方の濃淡でたとえば北極冠の南に濃い暗斑が食い付いている。これはリマ・ボレアリスの一部ではないかと思われる。オリュムピアが外側にあるはずであるが、白色の出が不明瞭といえると思う。些しφが異なるのであるが、25 April 2012のBill FLANAGANのω=180°Wと比較すると好い。なお、IR685では白色が弱くなって北極冠が不明確になるのと同時に斑點も不明確。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160131/CFs31Jan16.jpg
Bill FLANAGAN: http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120425/WFl25Apr12.jpg
Denis FELL (DFl)氏はω=313°Wでスケッチを行った。シュルティス・マイヨルがべったりと夕端に附きながら太い。ヘッラスは夕方だが、白くはない。シヌス・サバエウスがやや淡く、シヌス・メリディアニは濃い。マレ・アキダリウムが朝方に細く見えている。北極冠は明白。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160131/DFl31Jan16.jpg
2 February 2016 (λ=103°Ls~104°Ls, δ=6.9")
CFs氏がω=138°Wで撮った。經度が若くなった分、夕方のタルシス山塊方面の白雲が美事にばらけて複雜。アスクラエウス・モンス、パウォニス・モンスの山頂K點は見えるかもしれない。オリュムプス・モンスの西山腹の雲はCM附近で最も白い。プロポンティスTが朝方に濃く見える。ウトピアとその以東は正常。北極冠と離れてオリュムピアが西側に明白。IR像には朝縁近くにゴーストの弧が出てしまっているのでL-Colourでも拙い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160202/CFs02Feb16.jpg
4 February 2016 (λ=104°Ls~105°Ls, δ=7.0")
EMr氏がω=219°W、φ=14°Nで撮った。RGB像のCM附近にエリュシウムが圓形で明るい。Rではエリュシウムとケブレニアが太い双葉柄を成す。朝端にはシュルティス・マイヨルが顕れているようだが不明確。ウトピア邊りは暗色模様だが、北極冠の姿は惚けきっている。南半球の暗色模様は存在だけ判る。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160204/EMr04Feb16.jpg
Stefan BUDA (SBd) 氏が良質の ω=012°Wでの像を提出した。 R 像が良質で、シヌス・メリディアニのアリュンの爪やマレ・アキダリウムの全體をうまく表現している。特にイアクサルテスとヒュペルボレウス・ラクスの邊りの描冩はこの視直徑では完璧に近い。インドゥスも2014年に見られたように出ている。B像は南端で小さな雲塊を示している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160204/SBd04Feb16.jpg
5 February 2016 (λ=105°Ls,
δ=7.0"~7.1")
MJs氏はω=341°W、354°W、008°Wで三組を拵えた。ほぼ一時間ごとだが、40分ごとが望ましい。どれも秀逸だが、最初の像は特に上出来映え。シュルティス・マイヨルは夕端に殘っていて、北端あたりには霧が覆っている。シヌス・サバエウスはシュルティス・マイヨルの方に連結していて、シヌス・メリディアニは明確に二つ爪に分かれている。オクシア・パルスも明確でオクススも途中に暗斑を抱えマレ・アキダリウムとの關聯でも優れて見える。北極冠はどの色でも明確で、RGBでは綺麗な白色である。マレ・アキダリウムの北からはイアクサルテスが北極冠の方に走っている。第二群のRGB像は些し淡くなったが、イアクサルテスは更に明確になった。Rで比べる限り、両者遜色はない。後者にはニロケラスが確認出來る。第三群はクリュセの全貌が見え中央の北からの暗部の垂れ下がりは顕著。イアクサルテスの邊りも興味深いが、arc型のゴーストが出ているような気もする。第三のRGB像は全體に白く靄っているような感じ。GとBの他との微妙な違いによる。赤道帯の霧にはそれぞれのBの効き方が違うようだ。すこし三作に不安定な違いはあるが、Rで見ると三つとも優れて好く撮れている。白の表現が印象的。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160205/MJs05Feb16.jpg
なお、40分ごとの観測が望ましいということについてはCMO#387 (25 July 2011)の村上・森田氏の記事を参照されたい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/387/Mo_Mk_387.htm
Maurice VALIMVERTI (MVl) 氏がω=355°W (plus IR image at ω=350°W)の一組を齎した。角度はMJs氏の二番目の像と同じだが、口徑の違いか、此方はブナンガエナをアラム内に暗示している。南端の雲も此方の方がはっきりしている。しかし、アエリアあたりの夕雲(帶の一部)はMJs氏の場合の方が好いように思う。これはB像の質の違いであろう。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160205/MVl05Feb16.jpg
CFs氏がω=107°Wで、L-Colour像を作った。タルシス山脈を明點の連鎖と捉え(アスクラエウスが強いか)、更に朝方にオリュムプス・モンスの明部を描いているが、L-Colourではオリュムプス・モンスの西側山麓は白くはない。夕縁近くクサンテに霧だまりがあり、これがL-Colourで強く出ている。北極冠は明白ではない。こういう場合はColour像とL像を別々に送ってくれた方が好いのにと思う。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160207/CFs07Feb16.jpg
8 February 2016 (λ=106°Ls,
δ=7.2"~7.3")
CFs氏は翌日ω=100°W、φ=14°Nで選りすぐれた像を得た。L-Colourではオリュムプス・モンスの西側山麓の雲も白く出て、アスクラエウス雲もパウォニス山の雲と分離して著しい。アルシア・モンスでは雲は淡く、寧ろ山頂は暗點である。更にそれより前方の雲と霧の展開も美事である。 ソリス・ラクスやティトニウス・ラクス邊りも明確である。アルバも淡く出ている。北極冠は白いが冴えはない。朝方にはオリュムピアの出現間近らしい。南端ではパエトンティス邊りの朝縁に雲が出ているように見える。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160208/CFs08Feb16.jpg
幸い31Mar2014にManos KARDASIS (MKd)氏のω=100°Wの像があるので比較する。但し、後者の場合、φ=21°Nで大きく違い、また季節もλ=110°Lsとやや進んでいるが然程違いはないはずである。大きな違いはιの違いによると思う(火星地方時がそれぞれの雲で大きく違っていることに拠る)。アルシア・モンスの雲の活動は既にあるはずだが、λ=150°Lsぐらいでもっと強くなる。アルバ・パテラもこれから強くなる。
9 February 2016 (λ=106°Ls~107°Ls, δ=7.3")
EMr氏が ω=167°W、φ=13°Nで ワンセットを得た。 オリュムプス・モンスの白雲が夕方に著しい。これはG像とB像で顕著。朝方ではケルベルスとプレグラがワイン・カラーで際だつ。プロポンティスTは暗斑、エリュシウムはやや明るく、アエテリアの暗斑も出ている。その西は朝霧。 明るいケブレニア帶を挾んでウトピアの東方は暗色模様。南の暗色模様は青色系統、但し形状はシッカリしない。北極冠はRGBでは黄色みがかった白色。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160209/EMr09Feb16.jpg
10 February 2016 (λ=107°Ls,
δ=7.3"~7.4")
Yukio MORITA 森田 行雄 (Mo)氏は光軸修正で暫く時間をロスしていたが、久しぶりにω=328°W、ω=334°W、ω=338°Wで三セットを撮った。LRGB像では一見してシヌス・サバエウスとシヌス・メリディアニの黒色で濃いのが目立つ。最初のLRGBでは夕方のシュルティス・マイヨルが夕縁に黒々としている。朝方にはマレ・アキダリウムが細い三角形をみせており、オクススも朝近くのマルガリティフェル・シヌスから発している。RGB像ではシヌス・サバエウスなども緩くシュルティス・マイヨルも夕雲にかすんでいる。R像もL像も些し荒れて見える。第二群ではRもマイルドになって、B像は第一群のBよりマイルドで、その所爲か、LRBGなどは全體が白霧に覆われたように見える、もちろんシュルティス・マイヨルの北端、マレ・アキダリウムに續く朝縁は朝霧。RGBの方がナチュラルである。第三群LRGBではシヌス・メリディアニが濃く、マレ・アキダリウムの北部が濃く見える。RGBでは模様はマイルドで、より白霧が目立つ。L像はどれも粗々しい。R像に限ると、第三群のR;ω=338°Wが綺麗な仕上げ。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160210/Mo10Feb16.jpg
11 February 2016 (λ=107°Ls~108°Ls, δ=7.4")
CFs氏がω=071°Wで一組(+IR685)を撮った。L-Colourではソリス・ラクスの様子やティトニウス・ラクスの邊りが濃く覗える。オピル-カンドルがやや明るく、何よりも好いのはアスクラエウス雲が他を圧して出ていること。北極冠もL-Colourでも宜しい方。マレ・アキダリウムは未だ寝ているが、ヒュペルボレウス・ラクスが北極冠に接して黒々と見える。比較する画像としてはMaurice VALIMBERTI (MVl)氏の23 Mar 2014 (λ=106°Ls) at ω=074°Wが參考になるが、ιは可成り違う。但しMVl氏像にもアスクラエウス雲は特別に見えている。阿久津富夫氏の19 May 2012 (λ=113°Ls) at ω=073°Wも対照すると面白いが、こちらはすでに衝後で、朝縁がまともに見え、タルシスの邊りの朝では霧が強い時期で、アスクラエウス・モンスは霧を突き出てK點になっていることが判る。随分位相角によって違うものである。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160211/CFs11Feb16.jpg
Maurice VALIMBERTI : http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/140323/MVl23Mar14.jpg
Tomio AKUTSU : http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120519/Ak19May12.jpg
12 February 2016 (λ=108°Ls,
δ=7.4"~7.5")
CFs氏は続けてω=058°Wの影像を撮った。アガトダエモンとオピルのあたり、ガンゲスやニロケラスの邊りがだいぶ見やすくなった。アスクラエウス・モンスの頂上は暗く、アスクラエウス雲は西山麓に見えるという格好。右縁アーク型のゴーストは気になる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160212/CFs12Feb16.jpg
15 February 2016 (λ=109°Ls~110°Ls,
δ=7.6"~7.7")
CFs氏が更にω=032°W、φ=12°Nで撮った。もはやマレ・アキダリウムが中心で、IR685では北極冠に接するヒュペルボレウス・ラクスが著しい。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160215/CFs15Feb16.jpg
♂・・・・・・ 追加報告
DFl氏は3 January 2016(λ=090°Ls)のω=207°Wのスケッチを報告した。エリュシウムが中央に見え、朝方にシュルティス・マイヨルが入ってきていると思われる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/160103/DFl03Jan16.jpg
Charles TRIANA(CTr)氏が27 December 2015 (λ=087°Ls)ω=266°Wの画像を送ってきた。像は小さいが、綺麗で白いヘッラスとシュルティス・マイヨルは明確、ウトピア邊りの感じも好い。エリュシウムが沈むところで、アエテリア暗斑が後続している。北極冠は明白で霧の吹き出しがあるかもしれない。CTr氏は南米コロムビアの観測家で、2013/2014期には八葉ほどの良像を送付されて來た。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2016/151227/CTr27Dec15.jpg