Forthcoming 2016 Mars (#04)
経緯度図と視直径 Part I.
南 政次・西田 昭徳
CMO/ISMO #441 (
ここで、2016年の火星のTiltがどういう風に変化してゆくか、例年のごとく火星面の經緯度線を、ある期間示して、火星面の傾きの様子を紹介することにする。当然、我々は圖の上を南とする。grid圖の大きさは視直徑の変化に比例している。赤道は太線で描いてある。pの向く方向は運転時計を止めたときに視野の火星の動く方向で、これは火星NS回転軸の方向を知るのに役立つ。Don PARKER氏やY. MORITA氏のp←→f線を決めるのに必要な知識である(これは南極冠の偏芯を検出のに役立つ。) 面の中に二本の点線がある。経線に沿う大円をわれわれはN線と称し、これは輝面では火星地方時の正午(noon)の線をあらわす。もう一本の点線はM線と称し、欠け際の大円に直角な大円をしめす。M線とN 線の交点はSub-Solar Pointとなる。
今回の接近の特徴は、Sub-earth-pointが赤道寄りになることで、ほぼ我々は赤道を正面近くに眺める格好になり、南北極地は見づらい傾向になる。特に λ=180°Ls 前後では、村上氏のCMO#439の Variation_of_φの圖(ここでも再録)が示すように、Tiltの変動が1954年、1969年、1986年、2001年の動きと似ているのだが、2016年の場合は1954年や2001年の場合と比べて、北寄りになるという點で少々の違いがある。先の村上氏原稿で指摘されたように、今回は1954年や2001年のピカリ現象が見られる可能性があるのであるが、φ変動図が示すように1954年と2001年のtiltが似ているのに対し、2016年の場合は角度が少し外れている可能性もある。これらの點については追って考究する。
22Mayの圖は衝時のものである。ピカリの可能な日は数日の違いしかないが、敢えて 20Mayのgridを擧げておく。衝からM線が急激に動いて、火星の北側を走って、最接近(30May)にはN線に近くなって、朝方に欠けが始まるようになる。最接近の時で視直徑はδ=18.6"であるから、先行する像の大きさを勘案していただきたい。最接近後の圖はPart IIで示す。