ISMO 2011/2012 Mars Note #17

Feb~Mar (λ=066°Lsλ=082°Ls)に掛けての北極冠域

MRO-MARCI像との比較

村上 昌己・南 政   


 

 

前回Note(16)で、λ=066°Ls~λ=082°Ls頃の北極冠内部をω=160°W~ω=180°Wの範囲でEfrain MORALES(EMr)氏の11Feb2012(λ=069°Ls) at ω=173°Wを中心に議論をした。その後、近内令一(Kn)氏が既に日本語のLtEEMr氏の像と同じ日のMRO MARCIの像を見付けで居ることを知らされた(CMO #395 (25 March 2012) 和文LtE     Mon 02/20/2012 00:12 JST 送信 )。たいへん面白い対応なので、今回はEMr氏の12Feb (λ=069°Ls) at ω=159°WMalos KARDASIS (MKd)氏の8Mar(λ=081°Ls)ω=154°WDamian PEACH (DPc)氏の12Mar(λ=082°Ls)ω=178°WのそれぞれをMRO MARCI Weather Reportからの像と対照させてみることにする。これら比較は単に北極冠の比較だけでなく、MRO-MARCI像を参照する際の心構えにも重要であろう。このWeather Report

http://www.msss.com/msss_images/subject/weather_reports.html

に載っている。

 

 先ず最初に、エフライン・モラレス(EMr)氏の12 Feb (λ=069°Ls) at ω=159°Wと比較の爲、同日のMRO-MARCIの動画からほぼω=159°Wに対応する像との比較であるが、それをFig.1とする。

 


注目したいのは、勿論北極冠内であるが、北極冠の東側はひどく瞑(つぶ)れていて、対応が不明確である。ただ、この色合いは砂塵は明らかに堆積していることを物語るであろう。コロレフ火口はEMrでは分離されない。尚、このMROの図(いわゆる破れ提灯)を見てエリュシウムに白雲が出ていると判断するものがいれば、それは愚か者である。MRO-MARCIだけでないが、こうした合成図は午後のある特定の時刻に短冊状に撮られたものから作られているのであるから、レアルに時間的変化を記録したものではなく、単なる表の羅列か遊びである。

 ただ、マレ・キムメリウムの北側などに黄塵が出ている様子などはレアルであり、EMr像と対応があり、明るくなっている。今後こうした明るい黄帯があれば、この対応を参考に、普通のccd像の黄塵と考えて好いと思われる。北極冠の南側の淡い黄塵擾乱もEMr像とMRO-MARCI像では幾らか対応しているので、こうした様子に慣れておくとよい。

 


 次にFig.2であるが、左側の像はマノス・カルドラシス(MKd)氏のほぼ一ヶ月後の8 March (λ=081°Ls) at ω=154°Wとの対応である。明らかにMRO-MARCIの北極冠の描写は暗すぎる。オリュムピアも暗い。この傾向はMKd氏の像でも出ている。一方、オリュムプス・モンス頂上からの西への白雲の吹き出しはMRO-MARCIでは綺麗に見える。エリュシウムも朝縁へ行っているから、午後二時あたりに撮られた白雲が朝霧のように見えるのは皮肉で、気をつけなければならないことである。MRO-MARCI像にはウトピアに少し白く明るめの黄塵斑點が出ているようだが、MKd氏の像で対応させるのは難しい。これはMKd氏のIR像でも、B像でも然りである (水蒸氣混じりならBに出るはず)

 


  Fig.3はデミアン・ピーチ(DPc)氏の12Mar(λ=182°Ls)ω=178°Wの像とそれに対応するMRO-MARCI像を入れてある。DPc氏の像はすぐれていて、この日は数種撮っているが、どれも好い。コロレフこそ出ないが、リマ・ボレアリスはかなり詳しい。ここでもエリュシウムの様子を論じるのは愚かということになる、MRO-MARCI像では、北極域からウトピアに掛けて黄塵が拡がっているのが明白だが、このグラデーションはDPc像で殆ど確認できる。

 


 最後にKn氏が最近14Sept2013 at 21:36着の和文LtE 2002年のMGS-MOCの北極冠像を添付しているので、ここでshareする。季節はλ=063°Lsから069°Lsに入るらしいから、EMr氏の11Feb12Febの画像と対応する。MGS-MOCの方が、好い北極冠像を出していたと言えそうである。黄塵の描写は薄く、MRO-MARCIのようにキツクはない。但し、2002年の北極冠の様子と2012年のそれが違っているかどうかの問題は不問である。なお、オリュムプス・モンスのあたりの雲が時間的にずれていることはMGS時代から同じであって、議論するときは注意しなければならない。

 


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