2011/2012 CMO/ISMO 観測レポート#14
2012年八月の火星観測 (λ=148°Ls~164°Ls)
CMO #402 (
♂・・・・・今回は八月の観測報告で、今期14回目のレポートとなる。火星は夕空の南西の低空にあり、おとめ座を順行してスピカ・土星を追い抜いていった。この期間に季節λは148°Lsから164°Lsへと進み、視直径δは5.8"から5.2"と小さくなった。傾きφは25°Nから20°Nと浅くなったが北極域がまだこちらを向いていた。位相角ιは37°から34°と減少して少し丸みが戻った。
♂・・・・・八月中には、以下の各氏が小さくなった火星を追って観測を継続した。
近内 令一 (Kn) 石川町、福島
4
Drawings (1, 3,
フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ
2 Colour Images (16,
森田 行雄 (Mo) 廿日市、広島
1
Set of RGB + 1 LRGB Colour + 1 L Images (
フレッディ・ウイッレムズ (FWl) ハワイ、アメリカ
1
Set of RGB + 3 Colour + 1 IR Images (
♂・・・・・ 1 August (λ=148°Ls) には近内(Kn)氏がω=065°W, 075°Wで観測。シーイングが非常に良く、ほとんどの大きな模様が確認できるという。小さい北極冠も白く明るくとらえられている。朝方のタルシスの明るさも感じられている。しかし二回目はシーイングが悪化してほとんど見えなってしまった。地域の夏祭りの中の観測だったようである。3 August
(λ=149°Ls) にもKn氏がω=045°Wで観測。雲が通過する中でマレ・アキダリウムの陰をとらえる。北極域の明るさとアルギュレの明るさを認めている。また、午後の北東縁にも明るさを感じている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120801/Kn01Aug12.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120803/Kn03Aug12.jpg
5 August (λ=150°Ls) のKn氏の観測はω=030°Wでマレ・アキダリウム中央。シヌス・メリディアニは、はっきりしない。シーイングは良く北極冠を白くやや明るくとらえている。南端にはアルギュレの明るさ、午後縁にも白い明るさを感じている。6 August
(λ=151°Ls) にはハワイのフレッディ・ウイッレムズ(FWl)氏がω=320°Wで撮像。暗色模様はシュルティス・マイヨルとシヌス・サバエウスが判るが北半球はゴーストが出てはっきりしない。午後縁のヘッラスの明るさが認められるが北極域の明るさは判然としない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120805/Kn05Aug12.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120806/FWl06Aug12.jpg
中旬まで報告はなく、16 August
(λ=156°Ls) には日本から森田(Mo)氏がω=298°Wで撮像、シュルティス・マイヨルとウトピアに濃度。ヘッラスの明るさもわかる。北極域は不鮮明。アメリカからはフランク・メリッロ (FMl)氏の観測、2分違いの像を並べている(ω=122°W, 123°W)。午後縁にクリュセあたりの白味が出ている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120816/Mo16Aug12.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120816/FMl16Aug12.jpg
下旬には23 August (λ=160°Ls) ω=048°WにFMl氏が撮影していて、小さな像だが午後縁に白い明部がとらえられている。視直径δ=5.3"、これが今期最後の観測報告となっている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120823/FMl23Aug12.jpg
(村上 昌己/南 政 次)
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