2011/2012 CMO/ISMO 観測レポート#12
2012年六月の火星観測 (λ=118°Ls~133°Ls)
CMO #400 (
♂・・・・・今期12回目のレポートは、六月の観測報告を纏める。火星はこの期間にしし座からおとめ座へ入り、日没時の南西の空に移っていった。季節はλ=118°Lsから133°Lsへと進み、視直径はδ=7.9"から6.6"と小さくなり、傾きφは26°N台で北極域が大きく此方を向いていた。位相角ιは39°で中旬に39.4°に達して欠けが最大となった。日本では六月上旬には本州各地が入梅となり、中旬には台風の上陸もあり、曇天傾向が続いて観測が難しくなっていった。
♂・・・・・六月中には、以下の各氏から、報告を拝受している。報告者は国内から2名、国外から4名に激減している。
近内 令一 (Kn) 石川町、福島
4 Drawings (26,
フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ合衆国
4 Colour Images (11, 18, 21,
エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ
1 Set of LRGB Images (
森田 行雄 (Mo) 廿日市、広島
5 Sets of RGB + 5 LRGB Colour
+ 5 L Images (3, 7,
25cm speculum with a Flea3
ドン・パーカー (DPk)
フロリダ、アメリカ合衆国
1 Set of RGB Images (
フレッディ・ウイッレムズ (FWl) ハワイ、アメリカ合衆国
2 Sets of RGB + 6 Colour + 1 R
+ 1 IR Images (12,
36cm SCT with a
DMK21AU04.AS
♂・・・・・報告数が少なく概況がわかるだけであった。ヘッラスの様子は、森田(Mo)氏の 03 June (λ=120°Ls) ω=294°W, 305°W や07June (λ=121°Ls) ω=264°Wに見られるだけであるが、午前中から明るく捉えられている。また、07JuneのMo氏の画像にはエリュシウムあたりが午後側で明るく捉えられている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120603/Mo03June12.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120607/Mo07June12.jpg
続くMo氏の10June (λ=123°Ls) ω=224°Wではエリュシウムが午前中から明るさがあり、朝方からの霧の広がりが見られる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120610/Mo10June12.jpg
マレ・アキダリウムあたりは、モラレス(EMr)氏の10June(λ=123°Ls)
ω=067°Wやパーカー(DPk)氏の12June(λ=124°Ls) ω=068°Wで捉えられていて、タナイスが濃く、イアクサルテスもヒュペルボレウス・ラクスと濃く繋がっているのがわかる。パーカー氏の画像には、朝縁の朝霧の中に暗点があり、タルシス高山の山頂が飛び出して見えていると思われる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120610/EMr10June12.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120612/DPk12June12.jpg
12Juneの続くウイッレムス(FWl)氏のω=137°W,139°Wも昼頃のタルシスあたりを捉えているが、像が荒れていて判断は難しい。メリッロ(FMl)氏も11, 18, 21, 28 June と報告されているが小さな像で詳細はつかめない。
近内(Kn)氏は26June(λ=130°Ls) ω=060°W, 070°Wと27June(λ=131°Ls) ω=051°W, 060°Wに観測をして南縁にアルギュレの明るさを感じている。北極冠も明るく見ている。また、朝方のタルシスあたりも白く明るく観測している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120626/Kn26June12.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120627/Kn27June12.jpg
いずれの画像にも融け残った北極域の明るさが捉えられていて、リマ・ボレアリスを挟んで、オリュムピアの明るさも持続している。月末には季節λは133°Lsとなり、視直径δは6秒台に小さくなった。
(村上 昌己/南 政 次)
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