2011/2012 CMO/ISMO 観測レポート#10
2012年四月の火星観測 (λ=091°Ls~104°Ls)
CMO #398 (25 May 2012)
♂・・・・・2011/2012期10回目のレポートは、2012年四月の観測報告を纏める。火星の季節はλ=091°Lsから104°Lsへと進み、興味深い北半球の季節の火星面の観測であった。視直径はδ=12.6"から10.0"と小さくなり、位相角ιも月末には34°に達して朝方の欠けが大きくなり、午前の半球が広く見えて朝霧による現象が捉えられたほか夕方にも同じ様な現象が見られた。傾きφは23°N台を保っていて、最終段階の北極冠と周囲の北極域が良く見えていた。本文でも詳しく取り上げるが、三月の下旬に観測された朝方のターミネーターからの飛び出しは、四月に入ってからもたびたび観測されていて、四月25日にはフラナガン氏(WFl)が捉え見事な動画を提出している(ISMO_LtE398参照)。いずれも数日前の太陽のCMEと関連付いているように思われる。
♂・・・・・.四月中には、以下の各氏から、報告を拝受している。報告者は国内から8名、国外から22名であった。日本では四月の天候も不順で晴れ間が少なかった。
ジェイ・アルバート (JAl) フロリダ、アメリカ合衆国
2 Drawings (3,
12 April 2012) 400×28cm SCT
阿久津 富夫 (Ak) セブ、フィリッピン
10 Sets of RGB +
10 IR + 4 LRGB Colour + 4 L Images
(1, 2, 11, 14, 18, 19, 21, 22, 29 April 2012)
36cm
SCT @f/36, 55 with a DMK21AU04
ドン・ベーツ (DBt) テキサス、アメリカ合衆国
2 Colour
Images (1, 8 April 2012) 25cm speculum @f/27
with a ToUcam Pro II
マルク・デルクロア (MDc) トゥールヌフィーユ、フランス
2 Sets of RGB
+ 2 IR + 1 LRGB Colour + 1
L Images (1, 9# April 2012)
32cm speculum, 25cm SCT# with a Basler
acA640-100gm
ビル・フラナガン(WFl) テキサス、アメリカ合衆国
1 Set of LRGB
Images (25 April 2012) 36cm SCT @f/27
with a Flea3
サデグ・ゴミザデ (SGh) テヘラン、イラン
12 Colour
Images (1, 4,~7, 9, 10, 19, 21, 22, 27, 28 April 2012) (28cm SCT with a DMK21AU04.AS)
ピーター・ゴルチンスキー (PGc) コネチカット、アメリカ合衆国
2 Sets of RGB
+ 2 IR Images (10, 17 April 2012) 36cm SCT @f/28 with a
DMKAU618.AS
エド・グラフトン (EGf) テキサス、アメリカ合衆国
2 Colour
Images (6, 8 April 2012) 36cm SCT @f/39
with an ST402
リチャード・ヒル (RHl) アリゾナ、アメリカ合衆国
1 Colour Image (9 April 2012) 20cm Maksutov
@f/32 with a DBK21AU04
石橋 力 (Is) 相模原、神奈川
4 Colour
Images (2, 9, 12 April 2012) 31cm
speculum, with a SONY HC9 Video cam
神崎 一郎 (Kz) 東久留米、東京
3 Drawings (2, 12
April 2012) 340, 480×20cm speculum
近内 令一 (Kn) 石川町、福島
15 Drawings (1, 2, 8, 25, 28
April 2012) 500, 430, 600, 750×30cm SCT
熊森 照明 (Km) 堺、大阪
1 RGB + 4 LRGB
Colour + 3 B Images (6, 8, 17,
27 April 2012)
28cm
SCT @f/60 with a DMK21AF04/DFK21AF04
シルヴィア・コヴォッリク (SKw) ルードヴィヒスブルグ、ドイツ
5 Sets of RGB +
4 IR Images (11,~13, 19 April 2012) 20cm speculum with a
DMK31AF03.AS
マーチン・ルヰス (MLw) ハートフォードシャー、英国
1 Colour
Image (10 April 2012) 22cm speculum @f/44 with a
DMK21AU618.AS
フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ合衆国
9 Colour Images (3, 5, 7, 14, 20, 30 April 2012)
25cm SCT with a ToUcam pro II
南 政 次 (Mn) 福井 (福井市自然史博物館天文台)*
2 Drawings (13 April
2012) 400, 550×20cm Goto
ED refractor*
エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ
9 Sets of LRGB Images
(3, 4, 7, 9, 10, 12, 17, 20 April 2010) 31cm SCT with a DMK21AF04
森田 行雄 (Mo) 廿日市、広島
12 Sets of RGB
+ 12 LRGB Colour + 12 L Images (1, 7, 12, 14~16, 18, 23, 28 April
2012)
25cm speculum with a Flea3
村上 昌己 (Mk) 藤澤、神奈川
7 Drawings
(6, 12 April 2012) 320×20cm F/8 speculum
ドン・パーカー (DPk) フロリダ、アメリカ合衆国
7 Set of RGB
+ 2 UV Images (4, 6, 10, 13, 19, 26 April 2012)
36cm
SCT @f/42 with a DMK21AU618.AS
デミアン・ピーチ (DPc) ウエストサセックス、英国
12 RGB Colour + 1G + 3 B Images (1, 2, 4, 5, 13, 14, 21
April 2012)
(36cm SCT with a SKYnyx 2-0M)
クリストフ・ペリエ (CPl) ナント、フランス
2 Sets of RGB
+ 1 IR + 2 LRGB Colour Images
(1 April 2012) 25cm speculum
@f/32 with a PLA-Mx
マイケル・ロゾリーナ (MRs) ウエストヴァージニア、アメリカ合衆国
1 Colour
Drawing (3 April 2012) 480, 340×35cm SCT
イアン・シャープ (ISp) ウエストサセックス、英国
2 Colour Images (1, 21 April 2012) 28cm SCT with a Flea3
クリス・スメト (KSm) ベルギー
1 Colour
Drawing (1 April 2012) 310×30cm Dobsonian
デーヴ・タイラー (DTy) バッキンガムシャー、英国
3 LRGB Colour + 3 R Images (1, 14, 24 April 2012) 36cm SCT with a
Flea3
ショーン・ウォーカー (SWk) ニューハンプシャー、アメリカ合衆国
1 Colour Image (21 April 2012) 32cm speculum with a
DMK21AU618
ヨハン・ヴァレッル (JWr) シュヴァルプ、スエーデン
10 Sets of RGB
Images (1, 4, 5, 8, 15,~17, 19, 22, 23 April 2012)
22cm speculum @f/27 with a DBK21AU618
フレッディ・ウイッレムズ (FWl) ハワイ、アメリカ合衆国
27 Sets of RGB + 44 Colour + 2 R + 1 G + 26 IR
Images (1,~4, 12,~15, 19, 27, ~29 April 2012)
36cm SCT with a
DMK21AU04.AS
♂・・・・・今回も幾つかの朝縁の突起が見えて、重要な時期であったが、通常のレヴューの中に入れる。さらにヘッラスや極地の重要な時期λ=100°Lsに至るので、少し細かく書く。
♂・・・・・1Apr(λ=091°Ls)にはベーツ(DBt)氏の画像でヒュペルボレウス・ラクスが非常に濃いのが目に付く。いよいよ濃化現象が極に達したかに思える。これはフレッディ(FWl)氏のω=087°W~112°Wにも見られる。尚、同時にω=087°Wではタルシス三山とオリュムプス・モンスが茶色に突き出て(poke-out)いる。阿久津(Ak)氏の像ではオリュムピアが見えて、北極冠が裂けているように見える。ゴミザデ(SGh)氏のω=259°Wでは北極冠の外輪のP-リングが著しい。朝のヘッラスは淡い。ペリエ(CPl)氏のω=297°WでもP-リングの名残が著しく、南中のヘッラスの内部も複雑。シャープ(ISp)氏のヘッラスは霧が掛かった様子。一方ピーチ(DPc)氏ω=304°W、317°W、324°Wのヘッラスは鮮明で、南部の凹みが明確。北極冠の周りの複雑さも興味深い。デルクロア(MDc)氏のω=311°Wの像も参照。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120401/DPc01Apr12.jpg
2Apr(λ=091°Ls)のFWl氏のω=135°Wではオリュムプス・モンスが南中で、独立して円い霧の中にあり、興味深い像である。日本では近内(Kn)氏やAk氏、神崎(Kz)氏などが夕方の雲の影響受けた像を残している。この日最後にはDPc氏がω=298°Wでヘッラスの南中を捉え、同時に北極冠の周りのP-リングの複雑さを描写している。
3Apr(λ=092°Ls)にはモラレス(EMr)氏のω=024°Wの像が好く、ヒュペルボレウス・ラクスが濃い。アルバート(JAl)氏もω=029°Wで見ているようだ。FWl氏ω=090°Wでの北極冠内部の描写は極めて面白い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120403/EMr03Apr12.jpg
4Apr(λ=092°Ls):EMr氏の東端ではω=352°Wでヘッラスが真っ白。パーカー(DPk)氏のω=005°Wでヒュペルボレウス・ラクスが好く見える。これはFWl氏のω=100°Wでも濃く、北極冠内に割れ目があるように見える。オリュムプス・モンスは円環に取り囲まれているように見える(R像)。DPc氏ではω=267°Wでヘッラスは朝方だが暗い凹みがある。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120404/DPk04Apr12.jpg
5Apr(λ=093°Ls)ではヴァレッル(JWr)氏のシュルティス・マイヨルがω=251°Wで稍蒼い。DPc氏の像は更に鮮明で、ヘッラスが朝霧でぼんやりしている。
6Apr(λ=093°Ls)02:40:GMTにDPk氏がω=354°Wの西端朝方に弱い突起を見ている。赤道に近い。早かったか、遅かったか不明。GとBで好く見える。グラフトン(EGf)氏にはω=003°Wの良像があるが、不明。P-リングとヒュペルボレウス・ラクスとの関係は好く分かる。熊森(Km)氏のω=113°Wでのタルシス三山とオリュムプス・モンスの描写は面白い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120406/DPk06Apr12.jpg
7Apr(λ=093°Ls)にはEMr氏のω=332°Wで夕方のヘッラスが真っ白。メリッロ(FMl)氏のω=359°Wでも残っているか。森田(Mo)氏のω=109°Wではタルシス三山の他、オリュムプス・モンスの描写が外輪も含めて面白い(R,G,B)。北極冠もこの方向からは割れて見える。
8Apr(λ=094°Ls):EGf氏ω=356°WでP-リング。Km氏ω=091°WでP-リングおよびオリュムプス・モンスを明確に描写、まだ朝霧が濃い。出て来るところを追跡すれば面白いだろう。Kn氏はω=110°Wでオリュムプス・モンスの突き出し(poke-out)をチェックしている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120408/Kn08Apr12.jpg
9Apr(λ=094°Ls):EMr氏の南中に近いヘッラスが陥没したように見える。北極冠は割れ目がある様にP-リングが複雜。この日はミンスクで17:31GMTに飛び出しが観測されている;
http://www.astronominsk.org/Planets/Mars/2012/Mars20120409_en.html
10Apr(λ=095°Ls)ゴルチンスキー(PGc)氏は、ヘッラスが南中だが(ω=304°W)、外側にはみ出しているように見える。EMr氏のω=309°Wはホイヘンス・クレターを描いて良像。DPk氏のω=314°Wはヘッラスの外側があふれ出ている様に見える。ルヰス(MLw)氏のω=237°Wではシュルティス・マイヨルが朝方で淡い蒼。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120410/PGc10Apr12.jpg
11Apr(λ=095°Ls)のAk氏の像ではタルシス三山とオリュムプス・モンスの霧からの突き出しが全部見える。コヴォッリク(SKw)さんのω=249°WではIRで模様を濃く出しているが、もとよりこれは単なる画像で色彩観測と関係がなく、前をゆく分解色像がメインである。ただしB像に迫力が無く、カラー合成のエリュシウムが物足りない。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120411/Ak11Apr12.jpg
12Apr(λ=096°Ls)ではEMr氏の像でヘッラスが朝方で変形したまま既に濃い白色である。P-リングにも割れ目が出ている。石橋(Is)氏のω=071°Wにはタルシスの突き出しが出掛かっているが全体に色が冴えない。Mo氏のω=073°W像にはタルシスの突き出しが一部出ているが、これも冴えず時間的に早いか。連続像が期待される。SKwさんの像では朝方のシュルティス・マイヨルが蒼く、Bでもエリュシウムはハッキリしている。尚、この日ミンスクでふたたび突起が17:56GMTに観測されている。すべてマッシュルームの多い場所で、太陽北半球磁場の逆転に伴うものであると思われる。
http://www.astronominsk.org/Planets/Mars/2012/Mars20120412_en.html
13Apr(λ=096°Ls)にはDPc氏が弱い飛び出しを記録している(後述)。一方DPk氏のω=282°Wヘッラスは輪郭がハッキリしないがノーマルで白い。氷晶の流れが上部にあるのかも知れない。ω=021°WのFWl氏の像ではヘッラスの沈むところ。P-リングとヒュペルボレウス・ラクスは濃い。DPc氏のω=187°Wではオリュムプス・モンスのカルデラが霧の中から現れた姿で夕方では珍しい。以後ω=210°W、215°Wと撮るが縁に来てもう見えない。この連続像ではオリュムピアの縁が詳細に凸凹している。これも珍しい良像。また、エリュシウムの内部の構造が複雑に見える。重要なポイント。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120413/DPc13Apr12.jpg
14Apr(λ=097°Ls):FMl氏のω=307°Wのヘッラスは白く大きい(この像はヘッラス、北極冠、シュルティス・マイヨル傾きの位置関係を好く表している)。ω=101°WのAk氏の像ではオリュムプス・モンスが朝霧から突き出ている。Mo氏は時間的に早いか(ω=054°W)。DPc氏のω=192°Wのオリュムピアは北極冠ほど白くはない。オリュムピアに先だってイエルネが出ていることは確か(R像)。
15Apr(λ=097°Ls)ではMo氏がω=025°W、034°W、044°W、054°Wの力作を残している。ヒュペルボレウス・ラクスと北極冠に註目しているが、イアクサルテスははっきりしない。北極冠は小さくなった。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120415/Mo15Apr12.jpg
16Apr(λ=098°Ls):Mo氏のω=034°Wは25cmでは標準的、イアクサルテスがハッキリしない。JWr氏のω=152°Wは平板的なところだが像には味わいがある。なお、ズーセンバッハ氏が飛び出しを見ている(http://www.jsussenbach.nl/New3.htm)。
17Apr(λ=098°Ls):PGc氏ω=230°Wはオリュムピアを見ているが、エリュシウムの内部の複雑さが残る。Km氏ω=008°Wで典型的な構図。イアクサルテスが見える。JWr氏のω=153°WのBの描写が秀逸。EMr氏:オリュムピアが北極冠に併行。プレグラが茶系統で目立つ。
18Apr(λ=099°Ls):Mo氏ω=019°W、Ak氏ω=029°Wで似たような構図、前者ではイアクサルテスが鮮明だが、後者では、水蒸気の関係か複雜に見える。
19Apr(λ=099°Ls):DPk氏はω=219°W、224°Wで5°違い。前者はオリュムピアが北極冠に併行、濃度も同じくらい。プレグラは淡い茶系。Ak氏はω=017°Wで全体に良像。φ=23°N。SGh氏:ω=113°Wで高山の突き出しのところだが像の作りが好くない。SKwさんのω=168°Wはオリュムプス・モンスの辺りを夕方で狙っているが、オリュムプス・モンスの突き出しは出ていない。角度が問題だろう。
20Apr(λ=099°Ls):FMl氏のω=198°Wでプレグラは可成り強く茶系で描写している。EMrはω=207°Wで、17AprのEMr氏と比較出来る。
21Apr(λ=100°Ls):ω=205°Wのウォーカー(SWk)氏の良像で、最早オリュムプス・モンスには構造がないが、エリュシウム内は微細。オリュムピアも見える。Ak氏はω=360°Wでヘッラスが少し見える。典型的なところだが北極冠は小さくなった。DPc氏のω=111°W, 121°Wの像は秀逸で、オリュムプス・モンスなどは突き出ているだけでなく、リングに囲まれており、三山ではアルシア・モンスが著しい。また北極冠もP-リングも含めて取り巻きが特異である。分析が愉しみ。ニロケラスの中に黒点も面白い。ISp氏のω=124°Wはオリュムプス・モンスの邊りは面白いのだが、像が小さくて損をしている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120421/SWk21Apr12.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120421/DPc21Apr12.jpg
22Apr(λ=100°Ls):Ak氏がω=326°W等で夕方のヘッラスを追っている。充分白い。SGh氏のω=053°Wではヒュペルボレウス・ラクスが依然濃い。JWr氏の像は突き出しを狙っているが、物足りない
23Apr(λ=101°Ls):Mo氏がω=334°Wで前日のAk氏のような夕方のヘッラスを見せている。イアクサルテスは伸びている。JWr氏のω=090°Wは前日の像に比べると遙かに秀逸でタルシス三山の他、オリュムプス・モンスが入ってくるところで貴重である。その他、ヒュペルボレウス・ラクスが実に濃い。ソリス・ラクスなども好く見えている。
25Apr(λ=102°Ls)のフラナガン(WFl)氏のω=180°Wは秀像で、夕方のオリュムプス・モンスが構造を見せているほか、プレグラのあたりも茶系統で面白い。更に北極冠の周りのP-リング、およびその外側にオリュムピアやイエルネが見える。同時に、WFl氏は突起をω=177°Wからω=182°W迄連続して動画で捉えている(ISMO_LtE398で
4May受領のLtE画像を参照されたい)。Kn氏はω=290°Wでシュルティス・マイヨルや明るいヘッラスを描いている。ノドゥス・アルキュオニウス、東端のエリュシウム等も描かれていて美事である。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120425/WFl25Apr12.jpg
26Apr(λ=102°Ls)にはDPk氏がω=150°Wでは(特にRで)オリュムプス・モンスのカルデラが見えている。Poke-outとは違う形態。Noteで一連のオリュムプス・モンスの構造と比較しなければならない。北極冠が実に面白い形になっている。残留北極冠への大きなヒントである。
27Apr(λ=103°Ls):FWl氏がω=238°W、244°W、252°Wと追っている。オリュムピアに注目。Km氏はω=269°Wで、シュルティス・マイヨルの邊りは蒼系統に対して南西端は茶系統。
28Apr(λ=103°Ls):FMl氏はω=201°Wから231°Wまで不定期に撮っているが、プレグラの描写がどれも違う。オリュムピア界隈はω=201°Wが好い。Kn氏はω=250°W、260°W、271°W、280°W、290°Wと40分毎に追っていて、シュルティス・マイヨルの出現から、エリュシウムの没する様子など追跡している。シュルティス・マイヨルの濃度に拘らない綺麗なスケッチで、ヘッラスの動向など好く分かるだけでなくオリュムピアの傾きも仄かに出ている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120428/Kn28Apr12.jpg
♂・・・・・以上、四月中の観測を概観したが、最後に特にCMEに伴うと思われる突起(プロジェクション)について纏めてみると、三月以来頻発していて、四月中でも06、09、12、13、16、25Aprに見られている。一方、CMEも頻発していて、02、05、09、18、19Apr発生のものが対応していると思われる。太陽の北極磁場はSNが現在逆転していて、異常が続いており、これに起因していることは確かである。2003年の時と比べて「ひので」等の資料が多くなっているが、突起が出ている火星の地形はマッシュルーム磁場の多いエレクトリス、エリダニア、アウソニアなど2003年の頃と同じであるらしく観測される角度などは余り変わらない。非常に面白い現象である。
(村上 昌己/南 政 次)
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