2011/2012 CMO/ISMO 観測レポート#01
2011年八月末までの観測 (λ=291°~354°Ls)
CMO #389 (
♂・・・・・ 今期の初観測報告はセブ島の阿久津氏(Ak)からで、五月12日(λ=291°Ls)のことであった。今回のレポートでは八月末日(λ=354°Ls)までの期間の報告を取りあげる。この期間、視直径(δ)は4.1"から4.7"に少し大きくなった。中央緯度(φ)は20°Sから11°Nまで大きく変化し、北極域が観測できるようになった。位相角(ι)は15°から30°に増加し、視赤緯(D)は五月におひつじ座あたりでの11°Nから八月末にはふたご座まで昇り23°Nと高くなった。
♂・・・・・ この期間に拝受した報告と報告者は次の通りである。
阿久津 富夫 (Ak) セブ・フィリッピン
4 Sets of RGB + 3 B + 7 IR + 5 Colour Images (12, 16 May; 11, 26 June; 11, 15, 16, 22,
36cm SCT@f/11-24, 55 with a DMK21AU04, DFK21AU04
サデグ・ゴミザデ
(SGh) テヘラン、イラン
3 Colour Images (28 July; 12,
デイビッド・グレイ
(DGr) ダラム、イギリス
2 Drawings (
スタニスラス・マクシモヴィッチ (SMk) フランス
5 Sets of Drawings (2#, 30 July; 2, 10,
ジェームズ・メルカ (JMl) ミズーリ、アメリカ
2 Colour + 1 R Images (4,
エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ
5 Sets of LRGB Images (30 July; 7, 10, 20,
森田 行雄
(Mo) 廿日市、広島県
10 Sets of RGB
+ 10 LRGB Colour + 11 L Images (29
July; 3, 4, 10, 11, 13,
25cm speculum@f/80 with a Flea3
♂・・・・・ Ak氏の初観測は五月12日(λ=291°Ls) ω=141°Wであった。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110512/Ak12May11.jpg
次いで五月16日(λ=294°Ls) ω=103°Wの撮影があり、両者共に赤外光によるもので南半球の暗色模様が捉えられていて、大黄雲の季節ではあったが、黄雲につつまれていないことには疑う余地はなかった。またAk氏は六月11日(λ=309°Ls) ω=209°Wには青色光による画像も撮影し始めている。撮影時刻は21時(GMT)頃である。また、六月26日(λ=318°Ls) ω=062°Wではアウロラエ・シヌス付近が正常に見えることを捉えている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110626/Ak26June11.jpg
Ak氏からは七月の観測報告はなかったが、八月になって八月15日(λ=345°Ls) ω=289°W、八月16日(λ=346°Ls) ω=283°WとRGBセットの良い画像を撮影している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110815/Ak15Aug11.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110816/Ak16Aug11.jpg
マクシモヴィッチ(SMk)氏は眼視観測を七月2日(λ=321°Ls)より開始して、上記リストにあるように断続的に観測を続けている。観測時刻は03時30分(GMT)頃である。
グレイ(DGr)氏も八月15日(λ=345°Ls) ω=045°Wに興味あるスケッチのセットを作成した。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110815/DGr15Aug11.jpg
ゴミザデ(SGh)氏の初観測は七月28日(λ=335°Ls) ω=195°Wで時刻は02時(GMT)頃である。八月12日(λ=343°Ls) にはω=036°Wの撮影でマレ・アキダリウムからアウロラエ・シヌス地域を捉えている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110812/SGh12Aug11.jpg
森田(Mo)氏の初観測は七月29日(λ=336°Ls) ω=084°Wで、アウロラエ・シヌスからソリス・ラクスあたりを暗く捉えている。中央緯度(f)は2°Nになっていて北半球の観測期の始まりでもあった。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110729/Mo29July11.jpg
八月3日(λ=339°Ls) ω=037°Wには、マレ・アキダリウムとアウロラエ・シヌスが明かで、北極雲もはっきり捉えられている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110803/Mo03Aug11.jpg
八月11日(λ=343°Ls)には連続観測を試み ω=318°W(320°W)〜ω=323°Wで、シュルティス・マイヨルとシヌス・サバエウスを撮している。八月13日(λ=344°Ls)にもω=297°W(299°W)があり、後者が良い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110813/Mo13Aug11.jpg
八月24日(λ=350°Ls)にはω=183°Wとω=189°Wの二セットの画像が得られている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110824/Mo24Aug11.jpg
モラレス(EMr)氏は七月30日(λ=337°Ls)から観測をスタートして、ω=284°Wでシュルティス・マイヨルを明らかに捉えている。観測時刻は09時30分(GMT)あたりである。八月に入って31日(λ=353°Ls)ω=336°Wにはセットで良像を得ていて、北極雲が大きく白く写っていて、赤色光では北極雲のコアを捉えている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110831/EMr31Aug11.jpg
合成カラー(IRGB)像ではヘッラスが白味がかっている。これは赤外光・赤色光での明るさが青色光より勝っているためと思われる。
メルカ(JMl)氏は八月4日(λ=339°Ls)ω=257°Wの画像があり、朝方のシュルティス・マイヨルが明かである。
北極雲はAk氏の八月22日(λ=349°Ls, φ=08°N)で示され、Mo氏の八月24日(λ=350°Ls)にも捉えられているがコアは不鮮明である。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110822/Ak22Aug11.jpg
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110824/Mo24Aug11.jpg
Ak氏の八月29日(λ=353°Ls)ω=152°Wでは北極雲の中に暗部が透けていて興味深い。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/110829/Ak29Aug11.jpg
(村上 昌己/南 政 次)
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