オードゥアン・ドルフュス教授の訃報

 

既に英語版CMOのファサード

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/ISMO.html

2010 CMO MARS NEWS Fに報じられたように、フランス天文学会の重鎮、オードゥアン・ドルフュス氏が101日にヴェルサーユでお亡くなりになりました。もう数週間で86歳という御高齢でしたが、最後まで御活躍されていました。ドルフュス氏は火星大接近の1924年生まれで(1112)、高名な飛行士のご子息でした。丁度ドルフュス氏が17歳の時、ベルナール・リヨー教授から家に電話があり、これは父親宛のものでしたが、たまたま17歳のドルフュス少年が応対に出て、以後、ムードン天文臺などに出入りするようになったようです。パリ大学の物理数学系の学科を卒業し、遂にリヨー氏のお弟子になるわけです。リヨー氏は1924年の火星写真などでも有名ですが、分光・偏光観測に強く、ドルフュス氏も影響されて、単に惑星の眼視や写真観測のみならず、分極・偏光による観測で好成績を挙げられたわけです。父親譲りの冒険家で、気球で高層まで昇って観測したという逸話は有名で、彼の50 Ans d’Astronomieという自伝風の本の45章は、これで埋まっています(全部で11)。彼はまた土星の10番目の衛星ヤヌスを見付けたという栄誉を担っています。ご冥福をお祈りします。  (Ed)

 

『火星通信』シリーズ3の頁に戻る