この時期から半月毎の発行となり、#090には七月後半、#091には八月前半の観測報告が纏められている。#091からは阿久津氏(Ak:32cm反射)の写真での報告も始まった。
#090の報告者は、Hg, Hk, Iw, Mn, Njの各氏と法国のGTc氏の追加報告がある。この期間末にLs=270°になり、南半球の夏至を迎えた。この期間、火星面はSyrtis MajorからM.Cimmerium、M.Sirenumと見え、Solis Lacusが夕方に現れるところまで進んだ。注目されたのは南極冠の見え方で、南極地は予想以上に大きな明部として観測され、その中に南極冠の輝部が見えるという状況になっていて、何らかの擾乱が想定された。
#091には、Ak, Hg, Hk, Iw, Mn, Nj, GTcの各氏の報告がある。風景はSolis Lの南中から、Nilokeras付近、Argyreと続き、後半はS.Sabaeusが見事に捉えられた。期末にはHellasが夕端に入って来るところまでが観測された。前期懸案の南極地は今回も特徴的で、南極冠の北側に明るい斑点が認められている。前例の知られていない事で、引き続き南極地に注目して観測する様にと勧めている。(同様に270°Ls付近で南極地が観測出来るのは2001年の接近時では十一月に入ってからの終盤の頃となり、詳細を見るには2003年の接近まで待たなければならない。)
#090には南氏の「夜毎餘言・XV 『火星探査はぼくの夢』」が掲載されている。科学と政治の危なげな関わりや国際協力を、松井孝典氏の「文学界」の随筆と、久保亮五氏の「朝日新聞」の論説、その他をひいて述べられている。ここの「ぼく」は南氏ではない。
LtEには阿久津富夫氏の「臺北市立天文台を訪ねて」が#090に紹介されている(19 July)。他には、山本進(28 July)・岩崎徹(2 Aug)・日岐敏明(16 Aug/#091)の各氏からお便りが寄せられている。
#091の巻頭は、浅田正氏による、「視直径の変化(1984,1986,1988,1990/91年)-Coming 1990/91 MARS(6)」が掲載された。横軸にLsを採った視直径変化のグラフを並べて各接近毎の様子を比較している。#091巻末にはOAA Mars Section (Nj氏執筆)からのお知らせがあり、南氏のOAA第五回山本一清記念研究奨励賞の受賞が報告されている。