1989年五月中旬には、火星は「ふたご座」にあって夕方の西の空の観測対象だった。日没時には離れていった木星に加わって金星・水星が東方へ離角を大きくして西空が惑星達で賑やかだった。火星の日没時の高度はまだ25度程もあり、22時頃に火星の没となった。15 Aprで視直径4.3秒角、Ls=040゚,φ=3゚Nに達していた。
OAA Mars Section Reportには四月後半・五月前半の期間の観測が纏められている。此の期間の報告者は、岩崎徹(Iw)氏・南政次(Mn)氏・中島孝(Nj)氏の三名になった。視直径は前期間よりさらに小さくなったが、φが北に遷って移って北極冠がより明確に認められるようになっていた。M Acidalium・Solis Lなど、暗色模様も概略認められた。
各氏とも此の期間を持って今期の観測を終了した。最終観測日と観測枚数はそれぞれ、
Iw: 17 Apr, 391drawings
Mn: 7 May, 838drawings
Nj: 15 May, 269drawings
であった。
追加報告は、白尾元理氏・Gerald Teichert氏(Fance)から寄せられている。
この号から「LtE スペシャル」と題して、今期の観測期間中に、編集部に寄せられた観測者からのお便りが集中して掲載された。一回目は、1 June〜31 Julyの二ヶ月間のものが掲載された。
お便りの観測者・日付別の一覧は以下のようであった。
略号: Ak:阿久津富夫 Mt:松本直弥 My:宮崎勲 Km:熊森照明 Sh:佐伯恒夫 Iw:岩崎徹 Wk:湧川哲雄 Is:伊舎堂弘 Hs:長谷川久也 Sb:柴田恵司 Os:尾代孝哉 Ho:堀江卓二 Hk:日岐敏明 Oh:大場与志男 Is:石橋力 1988 Ak Mt My Km Sh Iw Wk Hs Id Sb Os Ho Hk Oh Is 1 June A A A 3 A 12 M 15 M 16 M 17 M M 18 MA 20 M M M 22 M 29 M M 30 M 31 M 1 July M M 3 M 4 A 9 M 12 M 14 M M 15 M 17 M ? M 19 M M A 20 A 21 M 22 M 23 A 28 M A 31 M*略図中の記号はそれぞれ、M:南政次氏(臺北)、A:浅田正氏(宗像市)宛の通信を示す。
お便りの中で、22、29 Juneの宮崎勲氏のものには、此の期間(15 June 1998)に起こったNoachis黄雲の沖縄での観測の模様が語られている。お便りを寄せている伊舎堂氏・湧川氏の他にも、比嘉保信氏もすでに活躍されている。